昨日から、図書館で借りた本をぶっ続けで4冊読破。
いま話題の『となりのツキノワグマ』(宮崎学著/新潮社2010.7)について。
出だしの「林業不振で放置された人工林がクマの絶好のすみかになっている」という記述がひっかかる。
宮崎さんがフィールドにしている長野は、標高が高いのでスギ・ヒノキよりもカラマツが多い。カラマツは陽樹なので、放置すると自然枯死する個体が多く出る(放置する→枝が密閉する→光が少ないので小さな個体は枯れる)。すると林床に光空間ができるので下草や雑木が生えやすい。
これは、カラマツが落葉の針葉樹であることも影響している。また、雪が多い長野では、線香林ができる前に雪折れが入るので、自然の間伐がおきる。だから放置しても空間ができやすく、下草や雑木が生えやすい。
これを日本全体が同じ、スギ・ヒノキも同じで「林業不振で放置された人工林がクマの絶好のすみかになっている」と読者が信じたら、大きな誤解を生む。
本州や九州で、低標高のスギ・ヒノキの適地に植えられた場合、放置された人工林は暗く密閉して、下草が生えない所が多い。雨で表土がどんどん流れて、土砂崩壊をおこしている山もたくさんある。もちろん、風雪害という「自然の斧による間伐」が入って下草や雑木が入った人工林もけっこうある。こういった山は、林業目線で見れば荒れた山だけれど、環境的には回復している。クマたちには格好のすみかとなっているだろう。
しかし、いつまでも暗いままで、土砂を流し、危険で動物たちに餌がない不毛な人工林も、これまたたくさんあるのです。この山は、やはり強度間伐を入れて環境を改善する必要がある。林野庁が生き残りをかけて、この強度間伐を補助金ネタにしている(これからもするでしょう)のは確かだけれども、間伐(もしくは皆伐)をしなければ災害が起きそうな山も多いのです。
それは、スギが多くは挿し木で、直根がないからです。マツ類は挿し木が難しいのが幸いして、根をしっかり張っています。カラマツ放置林での土砂崩壊は、スギ・ヒノキに比べてずっと少ないでしょう。直根がないスギがいま、大きく育って台風や雪で根倒れを起こしています。それが土砂崩壊のきっかけをつくり、沢になだれ込んだ木々が、沢水をせき止めで土石流を誘発します。
それにしても、宮崎さんに公的資金を出して、西日本や九州で「クマクール」で頭数調査をぜひやってもらいたいなあ!
*
金ゴマを収穫。その後のごみ取りがけっこう大変。
畑のもぎたて白インゲンをその金ゴマで和える。
囲炉裏で炊いた羽釜ご飯を木曽サワラのおひつへ。美味いんだなぁこのご飯が! 先日九州から来た虎丸さんにもこれを食べてもらった。食べた瞬間、虎丸さんは懐かしそうに「釜の飯は香りがよかですもんね~」と顔をほころばせた。
おかずは? 夕飯だというのに納豆とたらこ。味噌汁は豚汁にしたからこれで大満足なわけよ。
コメント