集落支援員で神流町へ。相変わらず道路工事の続く神流川沿いの国道。前方の山肌、スギの木が実をたくさんつけて花粉の準備をしている。よく見ると中に広葉樹が侵入しているのがわかる。こんな混植は絶対にするはずがないから、雪折れでできた穴に自然に広葉樹が生えてきたと推測できる。その広葉樹もスギの木と対等かそれを追い越すまでに大きく育っているのだ。
クマ棚を探しつつ進む。持倉集落の手前の堰堤は氷爆状態になっていた。
集落への最後の坂にある大きなクリ林。クマ棚はないが確実にクマがやってきている気配。木には古い爪痕のようなものが多数。
これだけ実が落ちていれば登る必要もないということか。宮崎学『となりのツキノワグマ』65ページの食べ跡に酷似しているクリの殻。
Mさん宅へお邪魔する。ここも掘りコタツの炭火を消したことがない。そのおコタの暖かいこと! 内部の石組みにも蓄熱されているにちがいない。豆の煮方などの説明を受ける。実は集落支援員といいながら、私たちはあまり支援していない気がする(笑)。今年はモチベーションを維持するべく、聞き書きの書籍化を目指したいと考えており、その聞き取りのツメを兼ねている。
Mさんのご主人は昨年突然に逝去され、現在は一人暮らし。薪づくりは伐採を人に頼み、町から娘さんが応援にかけつけ、薪割りだけご自分でされたそうだ(油圧の薪割り機がある)。
帰り道、前から気になっていた川の石際の白い帯。数年前から日本の渓流で多く見られるようになった。
指でこすってなめてみた。塩辛く、ウニのような味がする。融雪剤の塩化カルシウムが凝固したものではないだろうか。神流川の上空をカワウが飛んでいる。漁協はカワウの被害に手を焼いているようで、河原にカカシを立てている場所がある。ほんらい汽水域を好むカワウが、こんな山の中までやって来るようになったのは、塩カルを使い始めてからだ。
翌日は椹森へ。二人とも80歳を超えるおばあちゃんが日向で談笑していた。私たちも膝をついて同じ目線になり、いろいろと話しを聴いてみる。年寄りの話しを聴くにはタイミングが大事だ。今日はお二方ともいい笑顔を見せてくれた。