限界集落


山を下りる老人たち


雨が上がった。集落のSさんがお隣のイタルさん宅に遊びに来たついで、ウチでも立ち話をしていった。Sさんはもうすぐ85歳の一人暮らし。耳はやや遠いが元気である。自宅からちょっと離れた畑まで、バイクで移動しているのだが、そのバイクのエンジン音が特異なので、アトリエからは「ああ、今日もSさん元気だね!」などと、YKと和んだりするのである。

が、久しぶりにY先生にも会い、挨拶をすると「もう藤岡へ降りることにしたよ」という。厳冬期には藤岡のマンションで過ごされるY先生ご夫妻であったが、今年はついに山村を撤退される。まだ車が運転できるうちは畑に通うつもりであるという。そして先日、集落で50代の女性が癌で亡くなられ、そのお悔やみに行ってきたばかりだった。この集落の未来を考えると暗澹たる気持ちになる。「限界集落」という言葉があるが、わがH集落はとうに限界を通り越しているのだ。

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