朝、山小屋から1時間ほどで車道へ出る。ここはもう一つの登山口、宮之浦岳への日帰り縦走が可能な淀川登山口。
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囲炉裏暖炉のある家 tortoise+lotus studio
イラストレーター・著作家、大内正伸のブログ
貨物船フェリー「ハイビスカス」号は揺れに揺れた。種子島で長々と停泊するので、その間に眠りを摂る。天気はよくない。甲板に出ると屋久島がぼーっと現れるが細かい雨が顔を叩く。
海岸線のキャンプ場で一夜を明かし、翌朝、海沿いに南下。開聞岳を見ながら長崎鼻をまわる。長崎鼻は古き良き時代の日本の観光地そのまま。南国なんだよな。駐車場のオジさんに渋い共同浴場はどこか? などど突っ込み情報を得る。
「このへんはどこ掘っても温泉でるよ」
「・・・」
で、鰻温泉(うなぎおんせん)。
高度成長時代、有名温泉地は歓楽地になり、コンクリートのホテルと化し、加えて循環風呂と化した。源泉の湯量は限られている。そこに内風呂をつけた大きな宿をつくればお湯が足りなくなる。そこで水増し、加温、循環ということになる。
その後の温泉ブーム。ここではボーリングによる強引な掘削工事でお湯をくみ上げた。また温泉法というザル法のおかげで、湯温や成分に関係なく温泉と呼べるようになり、各地に日帰り温泉施設がどんどん造られていった。全国各地、この新設のほとんどが、循環風呂である。
これらの施設は当然ながらコンクリート施設となり、ジャグジー(泡風呂)やシャワーなどを完備した内風呂、それに露天風呂を設けている。休憩室や食堂などもあり、豪華ホテル並の施設なのだ。そして、自動車で入りに来るのを前提としているので、大きな駐車スペースがつくられている。
これがどんなところにつくられているのか? ようするに山を削り、農地などをつぶしてこのような施設を新設しているのだ。私は全国各地に巨大マーケットを造るEを批判しているけれども、それと同じようなことを、これら温泉施設は犯している。