屋久島紀行17.(淀川登山口〜尾之間温泉〜安房)


朝、山小屋から1時間ほどで車道へ出る。ここはもう一つの登山口、宮之浦岳への日帰り縦走が可能な淀川登山口。

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ここからはひたすら車道を3時間。本州と同じ形のスギが出てきて安心したりして。

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ようやくコペンに到着。やったー、縦走完了!

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そこから海岸までの道の途中、大型バスのために道を広げる工事が何カ所も行われている。「世界遺産」登録で観光客は増えるが、自然は破壊される。保護されるシカやサルによる農業被害もある。観光で潤う以外の島の人たちは「世界遺産」をどう思っているのだろう?

ここで縄文杉登山に関する推移をみてみよう。

1996年、縄文杉の発見(近代において)で新聞に紹介。

1971年、縄文杉登山者のために高塚小屋が建設される。

1985年、島への年間観光客6万人に。

1990年、年間観光客10万人に。

1993年、屋久島が日本で最初の「世界遺産登録」に。

1995年、年間観光客14万人、GWの縄文杉登山者1日110人。

1996年、踏みつけによる衰弱が心配されデッキが作られる。

2000年、年間観光客18万人、GWの縄文杉登山者1日250人。

2005年、年間観光客20万人、GWの縄文杉登山者1日300人。

そして幹の一部をえぐり取られるという事故が起き、現在では旅行雑誌『るるぶ』にも縄文杉登山コースが紹介され、このツアーは観光産業になっている。これまで登山にはまったく縁のなさそうなTシャツ少女たちや、スピリチュアル系の奇人(?)も来ていたりして、興味深く観察したのでした。

もうひとつ気になったのは屋久島にあるスーパーの存在である。そこにあるスタイルは群馬のそれとほとんど同じで、「水戸納豆」まで置いてあるのだった。屋久島にもグローバル化が忍び寄っているのだ。ということは、固有の文化が衰退しているのだ。

きょうびのCO2温暖化説には怪しい疑問を感じているが、環境汚染が急速に進んでいるのは確かだ。それを防ぐには自然に負荷のかかるエネルギーを使いすぎないこと、農薬や医療、添加物、遺伝子組み換え等の化学薬品の製造・使用を極力控えること(環境に循環させないこと)。すなわちその土地固有の昔の伝統文化を抽出・復活させていくことが大事なのだ。

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帰りに博物館で小杉谷の古い映像や屋久杉の資料を見る。杉樽に心惹かれる。これらは大切に使われた後、補修がきかないほど壊れたら、カマドで薪に燃やされたのだろう。廃棄物は灰しか出ず、ゴミが残らない。この、燃やすという文化を取り戻さねばならない。

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まずは温泉だ! 尾之間温泉。隣が小学校で、授業のベル音楽が聞こえてくる。地元のおじさんとともに湯に浸かる。温泉の湯は太古の昔から、変わらずにここにある。いいな。

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さすがに今日はテント泊まりはキツいので、ドミトリ―型の安宿をみつけ、その前にある食堂で屋久島最後の夜を祝う。ここが良かった。刺身盛り合わせ、左から、トコブシ、シマアジ、トビウオ、イカ、キビナゴ。すべて地物。これで800円。

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A定食、有頭エビのフライが2本、魚フライ、ポークソテー、ごはん量あり、これにみそ汁つき。1000円。どうよ。もちろん乾杯は生ビール。焼けましたね、顔が。

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お店のおばさんがキビキビと働く。店に出すものに関する誠意と、島の食材への誇り、客への愛情を感じる。島なのだ。いや、これが本当の日本なのだ。濃い顔に見とれた。思わず手帳にスケッチ。

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泊まったのは安房にある「森の陽だまり」。男女別2段ベッド、寝袋持ち込みで一泊1,890円。電源も借りれるのでPCも使える。さすがにネット環境はないが・・・。

インドや東南アジア、南西諸島旅ではこのタイプの安宿の話はよく聞くが、僕は泊まったのは初めて。けっこう快適だった。ここで日本の滝100選巡りを単独バイク旅でやっているオジサンに出会って、島の焼酎「三岳」をすすりながら話し込んだのは楽しかった。

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