原木の伐採(秋の備長炭取材その2)


紀州備長炭を焼くT氏がいま伐っている山を見に行った。白浜の海岸近く、道沿いでウバメガシの木はかなり大きく育ち、道路や電線の管理上からも伐る必要がある場所という。

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原木の木ごしらえ(秋の備長炭取材その1)


Tさんの窯場は口焚きの最中だった。

その火加減を維持しつつ、今日は「木ごしらえ」(窯にきれいに詰めるために真っ直ぐにのしたり、太い原木を割ったりという作業)を見せてもらう。

炭需要が激減し、山林が放置された期間が長かっために、原木は太いものが多いそうである。太すぎては炭に向かないので半割り4つ割りにする作業がある。

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ウバメガシの択伐


紀州の備長炭は非常に硬く火持ちのよい優秀な炭で、その性能はあらゆる木炭の中でも世界最高と言っていいだろう。いったん火が熾ると炭全体が赤くなり、長時間安定した火力が続き、短時間にムラなく焼ける。

だから、うなぎ・やきとりなど料理屋では多少高くても備長炭を使う。いまネットで見ると黒炭はキロ300~400円に対して白炭はその3~4倍はする。それでも効率や焼き上がりからすれば、プロは備長炭を使いたいわけである。

炭はその製法から黒炭と白炭に分けられるが、紀州備長炭は白炭の代表格で原料はカシ類、とくにウバメガシが多く使われる(黒炭はナラ・カシ類が多いが、サクラなどあらゆる木で焼ける)。

黒炭は窯で蒸し焼きにして作られるが、白炭は蒸し焼きの後、窯を開けて再び発火させ、外に出して素灰(粘土粉と灰を混ぜたもの)をかけてゆっくり消火させる。

このために硬質なきめ細かい肌の炭ができる。黒炭はお互いに叩くとコツコツという音だが、白炭はカンカン(キンキン)という金属音に近い音がする。そして手に持つとずっしりと重い。

Tさんの紹介で備長炭の炭やき名人に会いに行く。途中で「備長炭記念公園」を見学。ここには大きな炭窯が何機もあり、中で関東から移住したというIターンのご夫婦が窯出し中であった。

その後、龍神村方面へ山道を行く。かなり奥まった道の途中に窯があった。煙が出ている。名人といわれるHさん親子はその道では有名な人らしいが、実に気さくな方で、40代の息子さんは「四万十式作業道」をご存知であり、私がその本の著者であると知ると驚いておられた。

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熊野の備長炭を見に


熊野の取材へ。前回、中辺路の炭やき師Tさんに炭を出すときぜひ見せてほしいと頼んでおいたのだ。

紀州備長炭は白炭といって窯の中で火を消さず、窯を開けて炭をかき出し一度発熱させ、粘土灰をかけて消していく。

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