『未完の建築家 フランンク・ロイド・ライト』を読んだ。ペンギン社のコンパクトな伝記として2004年に刊行されたものの翻訳だそうだ。真実を奥深く分析した最新のライト評伝といってよいだろう。
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林道取材12.(明治村のライト)
しかし大阪の民博の駐車場代も高かったがここ「博物館・明治村」も800円と高い。しかも入場料は一人1,600円(ちなみに伊勢神宮は駐車場も入場/拝観料もタダである)。
ここは明治から昭和初期にかけての歴史的建造物が多数移築されている。前日、宮域林の取材の後、高速に乗って車を飛ばしたものの、「明治村」に着いたのは閉館1時間前。かなり敷地が広いのでとにかくお目当ての「旧帝国ホテル」へ急いだ(入り口から一番奥にある!)。僕にとって初めて見るフランク・ロイド・ライトの建築で興味津々だった。中にカフェがある。採光の工夫と細部が見事だ。イスもテーブルもライトのデザインだ。
土浦の駅前旅館
渋沢栄一は近代黎明期に様々な事業を成したことで歴史に名を残したが、出身地の地元埼玉県深谷には、その創出に関わった日本で最初のレンガ工場があり、現在の深谷駅はレンガで装飾された建物になっている。
27日の紙芝居ライブ会場もまた(ここは熊谷だが)、レンガをかなりの量使った建物であった。構造的には鉄筋コンクリート造なのだろうが、レンガを貼ることでぐっと温かい表情になり、調湿度や波動で人にいい効果もあると思う。レンガは粘土と砂を混ぜて圧縮・乾燥させ、高温で焼成したものである。陶器に近い素材なのだ。
フランク・ロイド・ライトの暖炉
仕事で火のことを調べていて、図書館で建築の本などを漁っているうちにの『フランク・ロイド・ライトスタイル(8)ファイア・プレイス』というものにぶち当たった。これが、僕にとって目からウロコだった。
ライトといえば近代建築の巨匠といわれているけれど、大きな公共建築は少なくて住宅の設計例が非常に多い。その住宅の写真をみると、家具からステンドグラス風の窓から、そのデザインがものすごい凝り様で圧倒されてしまう。
僕が建築というものに興味がこんこんと湧いてきて、古今の建築写真集を片っ端から借りていたときのライトの印象はといえば「この人は宇宙人だ!」(笑)というものだった。まるで宇宙の魂がデザインを教えるために地球に転生した、といった感じを受けたのだ。
巨匠とはいえ、自然派のライトは近代建築史の中では異端の存在だ。たとえばコルビュジエは前衛絵画に惹かれ、それを自身の建築に投影したが、ライトはウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツの流れを汲んでいたし日本美術をこよなく愛していた、と考えれば解りやすい。ま、ここのところやけにライトの書籍が出始めているのは、遊び過ぎポストモダンやムダだらけガラス建築の反省と、環境時代のご時世でいよいよ・・・というところなのかな。
さて、ライトは住宅設計の中で、フィア・プレイスすなわち「暖炉」というものに固執していた。先に書いた書籍によれライトが設計した暖炉は1000以上(!)にのぼり、どれひとつとして同じものはないという。
「暖炉はライトの居住スペースの中心的存在だった。いつでも暖炉の輝きを身近に感じていたいと望んだライトは、3軒の自宅の各部屋にほぼひとつの割合で合計44もの暖炉を設けている」(同書より)
ン???? 「各部屋にほぼひとつの割合で」暖炉を造っていたって? ちょっと尋常じゃないよね。