そろそろ「そばごや」が開業再開するはずなので行ってみた。徳島の吉野川支流貞光川沿いにある。老夫婦2人で営業している店で、5~6月は本業?の製茶業が忙しくなり一月半ほど店を閉めてしまうのだ。一週間くらい前に店を開けたとのこと。
親父さんが奥で石臼で粉茶を挽いていた。
挽きたての粉茶でアイスティーをごちそうになる。
蕎麦は相変わらず美味しかった。そば粉100%の田舎ソバ。大盛りで800円。
貞光川沿いに上ると剣山の登山口に出る。エゾゼミの声が山中いっぱいにこだましていた。群馬の赤城山を思い出して懐かしかった。
白い花はミズキのようだ。剣山の山頂付近はササ原だが、中腹には原生的ないい森が残されている。
ところが、ここから祖谷谷に下るルートは荒廃人工林が多く、連続砂防堤が道から見える所も。
私は8年前の2005年にもここを通っている。この年の台風で荒れた様子を日記にこう書いている(2005/9/19)。
剣山山頂付近の原生林は非常に価値あるものだが、その下の人工林は酷い崩壊を見せていた。第二かずら橋の下は、以前訪れた時に比べ淵の底が土砂で埋まってしまい、魅力の感じられない渓相に変わっていた。祖谷を下り始めて最初の民家に洪水被害の痕跡があった。道ばたのおばあさんに聞いてみた。「今年の台風で床上浸水、こんなに水が出たことはここ数十年で初めて」ということだった。両岸にコンクリートの護岸、その中には土砂で埋まった水流が細い流れをのぞかせているだけ。あの祖谷の源流が、である。
京柱峠を越えて高知へ入る。この峠の両側は広大な人工林地帯だが、どちらも生き枝の枯れ上がった線香林状態が延々と続く。崩壊箇所も見られる。
そのときから既に8年近くが経過し、祖谷川にはこのような連続堰堤が作られまだ工事は続いていた。
はたしてこんな護岸や堰堤が必要なのか疑問だが、魚道は付いているようだ。この上流に過疎化した集落があり、そこには環境アートなのか野外に等身大の人形かかしがたくさん置かれていて私には不気味な光景に映った。
相変わらずの線香林。スギは常緑樹なのでほとんど葉を落とさないが、間伐遅れで枝が枯れ上がってくると枯死した枝葉が盛んに落ち、それが林内に堆積している。他の植物はほとんどない。
祖谷地方は中央構造線の南帯で、地質的に三波石の青石が広大な帯をひいている。破砕帯であり節理のある細かな石が大量に出るのでそれで石垣が作られている。破砕帯は水が地中に染み込みやすく、保水力が高い。だから、高標高の場所でも湧水が豊かだ。山岳集落が多いのは、このような要因も見逃せない。
それにしても、荒廃人工林や破壊的コンクリ―ト工事をさておいて、環境アートや茅葺き民家の高級民宿が流行るというのは、やはりホラーである。