神戸、西宮神社。えびす神社の総本社で通称「西宮のえべっさん」。
新春1月9日~11日の「十日えびす」は百万人もの参拝者で賑い阪神間最大の祭として知られる。なかでも10日の開門神事・走り参りは「福男選び」として大変な熱気につつまれれる・・・。神社の公式サイトでこのように書かれている。
神戸は何度か訪れてはいるが、その全貌はまだまだ見えない。ただ、あてずっぽうに彷徨ううちに、なにやら「濃い」ものが現れてくる。
大練塀は室町時代(推定)の建造。国の重文。
夙川(しゅくがわ)沿いを歩く。六甲の東端を源流に住宅街を流れつつ大阪湾に注ぐ。この両岸がよく整備されマツとサクラの並木になっている。
ときおり大きな広葉樹が現れる。この木は?・・・
エノキだった。
国蝶オオムラサキの食樹である。幼虫はこの落ち葉の下で越冬するのだが、まあここではムリだナ。他にもゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、テングチョウの幼虫たちも養う。それからタマムシがいちばん好む木でもある。まだある、ヤドリギが付きやすい木なのだ。というわけで、昆虫や植物好きに愛されている木だ。
下流に歩くにつれ、かなりの大木が次々と現れる。黄葉が美しい。独特の葉脈がエノキの特徴だ。
エノキは独立樹になると、とても大きく枝を伸ばす木だ。枯れ枝が落ちてきたらケガをしそうだが、エノキは一説に「柄の木」が語源といわれるように農具の柄に使われ、天秤担ぎの担い棒にもエノキがよいとされたくらいで、強いのだろう。
それから漢字で書くと榎・・・「木に夏」と書く。これは夏に木陰をつくることから生み出された国字である。エノキが一里塚などによく植えられたのは、その大きな樹冠が目印になり日傘となって旅人や馬を癒してくれるからだ。
アカマツの並木も観察。かなり立派である。ここはもともと花崗岩地帯という痩せ地で、しかも掃除(落ち葉かき)もしっかりやっていて、マツ枯れからは逃れている様子。
マツは痩せ地・明るい場所が好きな木で、痩せ地で生きるために菌根菌(キノコ)と共生関係を結ぶ。また、大気汚染や酸性雨に弱い。反転する環境になるとマツは衰弱し、衰弱するとヤニが出なくなり、虫にやられる。だから、薬を使う前に、マツを元気にするよう痩せ地で明るい環境を取り戻す必要がある。また、酸性雨にはアルカリ度の高いミネラル豊富な炭を、根の周りに埋めて土の環境を戻すことが大事だ。
が、やはり安全パイの薬注の跡があった。まあ薬を使うとはいえ、空中散布よりはずっといい。
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これまで国はマツ枯れについて遷移・環境汚染説を否定し、カミキリムシが媒介するマツノザイセンチュウが原因であるとして薬剤撒布を行なってきた(現在も一部続行中)わけだが、私は『「植えない」森づくり』の2章を書くにあたって、このマツ枯れのメカニズムの本や文献をかなり読み込んでみた。そしてこの説に穴(欠陥)があることを発見した。
この内容に対する研究者たちの反論は、私の所にも出版社にも、まだ一件も届いていない。
先日編集者から『「植えない」森づくり』増刷の知らせが届いた。