四国霊場開創1200年記念を機に車遍路中。2014/4/6「1番霊山寺」から順不同で巡礼している(現在34箇所目)。
お遍路の記録はネット上にたくさんあるが、やはり若い歩き遍路の日記が面白い。歩き遍路は宿に宿泊するのと野宿をする方法があるが、善根宿や通夜堂という激安もしくは無料という場所を利用することもできる(いろいろ併用している人が多いようだ)。
なにしろ遍路は歩く距離が長いので予定が立てにくく、先に宿を予約してしまうとそれにしばられて自由度がなくなる。かといってキャンプや野宿する場所は限られる。歩き遍路の泊まり場所はなかなか悩ましい。
普通の宿(民宿・ホテル)での宿泊は当然のことながら宿代がかかり、四国を一周するわけだからかなりの金額になる。驚いたのは歩き遍路のコンビニの利用率が極めて高いことだ。おにぎり、弁当、菓子パンにジュース・・・添加物多すぎ! 効率から考えて仕方ないとは思うが。
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天気がいいので残りの讃岐をお寺を一つ行ってみることに。
で、今日は善通寺。ここは空海誕生の地と言われており、高野山、京都の東寺と並んで弘法大師三大霊場の一つ。お遍路にとって後半のハイライトだ。でもほんとうは別格二十霊場のほうの海岸寺が出生地という異説もあって、こちらの信憑性も高い(昔の歩き遍路は必ず海岸寺に立ち寄ったそうだ)。
駐車場は本堂と離れた場所にあるので、まず本堂を正面に望む南大門まで行ってみる。「五岳山」「弘法大師 屏風浦」「御誕生所 善通寺」という看板。
五重塔、大きさと風格がある。明治時代の再建。
境内は広く、瀬戸内に特有のクリ―ム色の花崗岩風化土が敷かれている。クスノキの大樹がたくさんあるが、なかでも樹齢1000年超、大師が生まれる前から生きていたというクスノキが圧巻。
いまの季節、讃岐は清涼感のあるクスノキの花の匂いに満ちている。クスノキはむかし樟脳の原料だったが、花の香りはもっと上品で穏やかだ。
本堂。ご本尊の薬師如来は3mの座像で88箇所霊場で最大のもの。金色の輝きもローソクの燻しで黒光り。迫力がある。
境内は東院と西院に分かれていて、両者を繋ぐ通路には屋台が並んでいる(今日はほとんどの店が休みだったが)。西院のほうに戻ってみる。
中門の上部にある龍の彫り物。玉眼が入っている。
水路にたくさんのカメが泳いでいる。いつも橋から餌を投げてもらっているのか、水面を覗いているとたくさん集まって首をもたげてくる。
仁王門。
大師堂。ここでは御影堂と呼んでいる。
御影堂につながる回廊にも彫刻がいっぱい。
建物の規模が他の霊場に比べてかなり大きい。本尊は大師作と伝わる瞬目大師像が秘蔵(50年に一度の御開帳、今回の1200年記念行事では開帳されない)。
お堂の地下には長野の善光寺と同じような暗闇の回廊を歩く「戒壇めぐり」がある。戒壇めぐりと宝物館のセット500円を払って中へ。階段で地下に降りると真っ暗でまったく何も見えない。壁を伝いながら進むと中央で灯りが見え、大日如来像のある小広間に出る。そこで音声で大師の声を聴くという演出。
宝物館には重文の仏像が何体かある。如意輪観音像がなかなかよかった。
善通寺蔵で一番の注目は「一字一仏法華経序品」(国宝)だが、こちらはレプリカ展示となっている。空海が経文を書き、隣の小仏絵を母君が描いたといわれている全長21.2mの巻物だ。経文なので文字は1cm角程度の小さなものだが、書は力強く格調高いすばらしいものである。本年の11/3に特別公開されるそうだ。ペンタックスPapilio双眼鏡持参でせひ実物と対峙したいものだ。
▼写真家、三好和義氏の『巡る楽園』で撮られたもの。
御影堂と宝物殿の間に空海がつかったという産湯の水がある(でも、ホントは海岸寺だと思うよ♬)。