島根で石窯をつくる@「温泉津なりわいブートキャンプ」講師


島根県大田市の「温泉津なりわいブートキャンプ」に講師として参加してきた。このイベントは12/1〜3の2泊3日間、宿泊費用と食費のサポートを受けながら温泉津に滞在し、イノベーション創出を目指すというもので、

メニューは
1)ローカル創業移住起業体験ツアー
2)里山再生体験ツアー

の2つがあり、2)を仕切る里山インストールの事前打ち合わせで、現地のワークで薪棚とピザ窯を作ろうということになり、僕は石窯(ピザ窯)づくりの指導をすることになっている。

前日は温泉津の「時津風」で里山インストール 代表の小林くんの 講演を聞き、夜は港の「食堂KAN」で参加者とご飯を食べ、参加指定の宿「kazeto」に泊まった。温泉津では「時津風」や里山インストールのアジト以外に泊まったことがないので新鮮だった。とにかくここ数年で温泉津の施設は大きく様変わりし、センスの良い飲食店や宿が増えているのである。

そして12/2の当日、ピザ窯は台座が必要なのだが、そこから作っているととても間に合わないので前回再生した石垣の上に作ってしまうことにした。素材は里山インストールにしこたまストックしてある廃材の耐火レンガが、大小様々な形のものがある。それを小林くんが重機でどんどん運んでくるのを、参加者のリレーで石垣の上に積み上げてもらい、まずは並べて火床をつくる。

極め付けは長方形の石材である。島根で広く作られる石州瓦の原料の1つで「来待(きまち)石」というものだ。これだけ長いとそのまま天板が作れてしまう。

石のすき間を穴埋めし、全体のデコレーションをするのに粘土を練ってもらう。

粘土を団子にして叩きつけ、すき間を塞いでいく。

本当にピザ窯ができるのか? と半信半疑だった参加者も、形が見えてきて熱が入り始める。

女性参加者も粘土の扱いにすっかりハマってしまい、ときに泥の飛沫を浴びながらも嬉々として造形に取り組む。

形が見えてきた。

指で縄文的な文様を入れるとなかなか良い。皆で思い思いに描き始める。

最後に今日の日付のサインを(笑)。

ここまで出来ちゃうとやっぱり火を入れたくなるものだ。まだ粘土は濡れたままなのだがやってみることに💧

だんだん暗くなってきて、炎が美しく映える。その火を見ているうちに「どうせならピザも焼きたい!」ど誰かが無謀なことを言い出したのだが、それが伝言されて本当に粉をこねだして仕込み始めてしまう人が現れたのだった(マジか💦)。

前々回に作った三又囲炉裏で浜がご飯を炊く。耐火レンガも使って簡易カマドをつくり汁物を温める。

今回は地元の方が、温泉津の素材をふんだんに使った特製の弁当を作ってくださった。

そして、ついにピザも焼きあがる‼️ 1日でピザ窯つくっちゃうというのもアレだが、その日にピザを焼くというのはちょっとビックリでww。さすがにちょっと熱が若干足りなかったようで、いい焼き色はムリでしたが。

夜は温泉津温泉の龍御前神社での夜神楽を見に行った。石見神楽は京都の八坂神社で見たことがあるのだが(祇園祭の宵山で奉納される)、本場で見るのは始めてだった。まず衣装が美しいと思った。

石見神楽は日本神話を題材にした演目が約30種類もあるのだが、なんといってもハイライトはヤマタノオロチと須佐之男命(すさのおのみこと)の対決によって天の村雲の剣(あめのむらくものつるぎ/のちの「草薙の剣」)が取り出される「大蛇(おろち)」である。これが神楽の主人公、スサノオの面である。

僕は本質的に能や狂言、神楽がけっこう好きなのである。今日の石積みと揺れる炎とこの神楽の舞が、僕の中でシンクロしてしまった。

最後の大蛇退治のシーンは圧巻である。

このシーンは本当に凄かった、感動で涙がこみ上げてくる。終わってひとり神社をあとに歩いていると「これを見るために温泉津に導かれたのだ・・・」という感慨に打たれて、スサノオ〜龍神〜草薙剣〜ヤマトタケル・・・という淡い記憶のようなものが、手のひらに落ちてくるのだった。

神楽の途中で幸運の飴玉が投げられたのだが、僕は取ることができなかった。ところが、宿に戻ってパーカーを脱いでいたら、床に飴玉がポロリと音を立てて落ちた。パーカーのフードの中に、投げられた飴玉が偶然入っていたのである。

翌12/3日、「時津風」でグループワーク成果発表のミーティングが行われた。参加者は大学生と卒業後に社会人になったばかりの若者が多かった。

僕の著作はたちまち人気となり、手持ちの本はあっという間に売り切れて、サイン攻めに遭う(笑)。

初日に事業概要全体説明会があった「小川商店本店」にて、振り返りと 質疑応答があり、僕もちょっと喋らせてもらった。

終了後、その足で帰宅しようかなとも考えたが、もう一件、島根にて来て欲しいという現場から連絡を受けていたので、今日も泊まることに。昼はWATOWAでランチを。WATOWAは入れ替わりでいろんな料理人が入るのだが、今回もすばらしかった。薬師の湯に入り、宿は古民家をリノベした「湯るり Yururi」を選んでみた。

翌朝、時津風でモーニングを食べてくだんの現場へ。敷地はすばらしい。が、やはり大事なところが詰まっている。中国山地はなだらかで小起伏の続く準平地形になっており、長年放置された谷筋は詰まって周囲がヤブ化している例が多いのである。

樹齢の古い独立樹があったが枝枯れを起こしてだいぶ傷んでいる。

古民家に「囲炉裏」をつくりたいとの希望だが、僕は先に「大地の再生」講座をしたほうが良いと進言した。

場所は温泉津からそれほど遠くなく、徳島山川の古民家ワークショップでお会いしたお母様の娘さんの移住先でした。3月あたりの温泉津再訪の機会に合わせて実施できればと思います。こちらも楽しみです❣️


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