ドングリランド「大地の再生実践コース」第7回目


秋めいてきて、ドングリランドのワークショップも今回で7回目になった。ビジターセンター前では「どんぐり銀行」の受付が始まっていた。「どんぐり銀行」は香川県が主導して1993年から始まったもので、子供たちにお金のかわりにどんぐりで貯金してもらい、たくさん貯まったら苗木がもらえるのだ。クヌギやアベマキ等の大きなどんぐりは「10ドングリ」と数える。

どんぐり銀行へ預けられるのは、茶色に熟して自然に落ちた新鮮なドングリ限定で、水を入れたバケツなどに沈めて、水に沈んだドングリだけが有効となる。どんぐり銀行には9ヶ所の常設窓口があり、ビジターセンターはその一つなのだ。

ビジターセンター前の斜面。ついに今年はいちども地際刈りをせず、「風の草刈り」のみでここまで来た。

広場のみどりも実に健康的な表情だ。

枝が上がってきたクリの木。

ビジターセンター前の斜面の中で、歩道まわりだけはシルバーボランティアさんが地際から刈り続けている場所がある。法面にも草が生えていないので、土が崩れてきている。

皆もここが気になっているようで、道に沿って斜面変換点に点穴を掘ることにした。

下のアスファルト道路との境界にも点穴を掘る。ここも斜面のみどりが薄い。ここの変化も観測しておきたい。

こうなると道々の斜面変換点がみな気になってくる(笑)。今日は午前中から沢に入る予定だったのだが、結局こちらに時間をかなり取られてしまった。

この斜面の上部のササ原は「風の草刈り」だけでここまで衰退し、シダがたくさん生えてきた。

この道まで上がると看板がある。ドングリランドの全体は大変広い。

過去に終えた6回のワークショップはこの中のごくわずかなエリアに過ぎない。今日は午後からちがうコースを周遊してみたい。

午前中の残り時間に沢に入ってみる。沢の入り口のトンボ池は自然度が増して良い感じの藻がびっしり生えながら、透明度がとても高くて美しい。

例のグライ化したスポットはまだ溜まっているけれど、もういちど水みちを切り直して、次の雨に期待しよう。

さてお昼時間。今日は焚き火の鉄板やきそばだ‼️ 子供たちはなぜか鉄板のほうに火を焚きたくてしょうながい(笑)。三又では豆乳スープをつくる。

鉄板はけっこう重いので、野石で安定する炉を作るのはなかなか難しい。そして火力の維持も。

完成♬

自家製「紅ショウガ」と削りたての「かつお節」、豆乳スープは昆布ダシにナスときのこ。

午後は「こぶし坂」からトレッキングを。

またしても大きなコンクリートの砂防堰堤が現れる。

いったん車道に出る。それにしても、ドングリランド一体の車道はちょっと過剰に切土が高い。山に道を作るとき、直線化と高低差を少なくしようとするとき、たくさんの山肌を削ることになる。また。道幅を広くとろうとしてもそうなる。

切土が広く高くなれば、当然ながら土木工事の過程で支障木をたくさん伐採する必要があり、森を一気に切り開くために風通しや日照のバランスが崩れる。本来なら近隣の藤尾神社の社叢(しゃそう)──アラカシ、ウラジロガシ、ツブラジイ、クスノキなど広葉樹の大木、県内では希少種のイチイガシやカギカズラなども見ることができる規模の大きい常緑広葉樹林──から連続する森林であったはずが、これらの車道(そして不必要に巨大な砂防堰堤)によって、かなり傷んでしまっているのだ。

車道からはずれて竹林のわきを通っていく。

沢に降りた。皆は沢と見るや自然に手が出て掃除を始めてしまう(笑)。

この沢はグライ化した泥だまりがなく、苔の色も鮮やかで健康的に見えた。

軽トラ1台が通れるか通れないか程度の細い未舗装の道が、古い石積みで沢沿いに作られているのだった。

それでも沢を塞いでいる倒木などはけっこうある。その腐朽具合から、もう何年(いや何十年?)も手入れをされていない様子だった。

それでも、セキショウやフキなどが自生しており、誰ともなく「ここ、なんか良い感じですね・・・」と口をついて出る雰囲気を持っている、掃除しがいのある沢なのだった。

沢を下っていくとまた大きなコンクリートの砂防堰堤に出くわす。

標識のある分岐点を経て、車道からビジターセンターに戻った。

赤矢印のコースを歩いたことになる。

道具類の片付けを終え、ビジターセンター内でいつものように感想会を行ったのだが、僕はどうしても今日の車道の工事の話がしたくて、少しだけホワイトボードを使って道づくりと環境破壊の話をした。

今日歩いた道幅の広い舗装車道は、おそらく砂防堰堤の工事のためにつけられたものだ。一方で、沢沿いの石積みの小道は。南の天神集落と北の葛谷集落を結ぶ古道であり、田んぼのための沢水管理道である。

その両者の環境と植生の佇まいは、皆も気づいたように明らかにちがっていた。「大地の再生」の眼を持つと、こんなことも肌で感じられるようになる。


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