さて今回のお客様は、先日大阪の茨木市車作で縄文小屋造りをした「墨歌」の酒井さんとお友達Tさんご夫妻である。Tさんたちは縄文小屋のみならず囲炉裏暖炉作りワークショップにも参加されて僕と顔見知りであり、いま酒井さんのところで食養や野草・自然農を学びながら田舎への移住先を検討中という。
もちろん一番の目的はアトリエの建築と囲炉裏暖炉の視察なのだが、西からのお客様には途中Gomyo倶楽部に立ち寄っていただき、敷地や広場の薪火装置などを見ていただくことにしている。
僕としては酒井さんの目でGomyoフィールドの食べれる有用な野草を教えてもらおうという目論見もあった。4:30に大阪を出られたとのことで、五名には朝に待ち合わせができた。
堰堤の上に太いイタドリがあるのを酒井さんは見逃さなかった。イタドリは僕のアトリエ敷地にも多数あり、四国(とくに高知県)ではよく食べられている山菜だが、高知風に塩漬けにして保存するような太いものはなかなか見当たらない。
そしてアザミである。アザミは葉から茎、根まで全草食用となるが、なにしろトゲが痛いので、葉が丸っこい種類がいいらしいのだが、Gomyoには見当たらなかった。とりあえず根っ子を採取。
持ち帰って早速調理。アザミの根はこんなひげ根の集合体で、味はゴボウそっくりだという。そういえば同じキク科の仲間である。僕はまだ見たことないがゴボウの花はアザミによく似ているとか。
イタドリは塩漬けにしてもらうことに。湯につけてから皮をむき、塩漬けで1年経つとアクがすっかり抜けるそうだ。イタドリはシュウ酸が強い。が、これを塩抜きして炊くと独特の歯ごたえですばらしい料理ができる。僕は高知のひろめ市場で飲むときはこのイタドリを必ず食べる。
昼は僕が用意した料理を中心に。五分づき米に味噌汁。ぬか漬け、茎わかめの佃煮、そしてサワラの西京焼きを。
アトリエでは敷地と室内(僕のイラスト原画が多数飾ってあり、手作り家具がたくさんある)を見るだけで小一時間が過ぎてしまうのだが、囲炉裏暖炉に火を灯すともう釘付けになってしまうので、その前にちょうどGomyo倶楽部のイベント用に出しておいたスケッチブックを見てもらった。
スケッチは他にも多数あるのだが、このキャンソン紙の作品は僕が東京西多摩で森林ボランティアに参加していた四半世紀前の1996〜1999年の3年間に描いたもの。当時は山作業の合間にかならず1枚はスケッチを描くということ自分に果していたのだった。
主に植物画が中心だが、
昆虫や魚など生き物や・・・
人物画もある(実は人物画も得意♬)。
僕のアトリエでは他に見るものが多いので、このスケッチまでたどり着くお客さんはごく少ない。が、なぜかこのスケッチは見る人に大好評で、昨日のGomyoでも高校生女子が感動しまくっていた。今回も「このまま埋もらせておくのは惜しい」などと絶賛されてしまった。
さて、午後からは酒井さんの野草料理教室で夕刻の宴会まで引きずる感じであった(笑)。アザミの下ごしらえはかなり大変である(途中から僕がバトンタッチした)。
待ちきれずに囲炉裏暖炉に点火。Tさん(ご主人)は薪火が大好きで、キャンプに行くと火の番が専門なのだそう。
「手塩」という技術を教わる。素材本来の甘みを引き出すテクニックである。酒井さんの煮物を食べたとき驚かされた裏にはこの技術がある。
水にさらしてアク抜きしたのち、軽く塩で揉んでから出た水を切る。
そうしてから弱火でじっくり火を入れていく。すると、後からの味付けは酒やみりんなど外部からの甘みを加える必要がないほど、自然の甘みが出てくる。調味料は水で割った薄口醤油だけ。入れるタイミングは嫌な臭いが飛んで香ばしくなった瞬間まで待つ。
アザミやウドなど、油炒めするとき鍋やフライパンは鉄が良い。
油を使わないときは土鍋・陶製がベスト。今回、酒井さんがセラミックのフライパンを持参してプレゼントしてくれた。先日購入して毎日のように使っているマスタークックのもの。ゴマを煎るのにとても使いやすいという。
夜のメインは肉なしの餃子だった。酒井さんが野菜(ニラ)から他の具材(黒豆、豆腐、油揚げ他)から皮まですべて持参で来てくれ、食べ盛りのご子息のために大量餃子包みが得意という Tさんが、独特の包み方で手早く鉄パンの中へ。
囲炉裏暖炉をつけたまま、網戸で窓全開で宴会の始まり♬ 明るく見えるけど19時過ぎてます。
手塩したアザミとウドが「これが植物食なのか?」と思うほど重厚に感じ、肉なし餃子がまたすごく美味しかった。肉なしでどうしてここまで同じような味が出せるのか・・・(全部くわしく見ることができなかったので謎/ヒントは茹でた黒豆を切ったものをさらに空煎りしていた)。
余った具をライスペーパーで焼いたものがまた美味だった! 話は尽きず深夜まで。4時起きだというのに野草と囲炉裏パワーでみな超元気ww!