魚座の新月に、人工林の科学を


旅の間、イタル君宅でたっぷり美食酒食してしまったので、帰宅後はまたベジ食へ戻る。自家製キムチ最終と、ブロッコリーのエゴマ味噌和え。豆腐の味噌汁。

次回の滋賀のワークショップで間伐イベントの講師もやることになり、古い道具を出して集めてみた。

愛用のヨキは西山商会の吉野斧「土佐清龍」という製品なのだが、新しいカタログからはなくなっているようだ。

両刃のナタは宮崎日南市で購入したもの。森林ボランティア時代に各地を旅するツアーの会を主催して飫肥杉を見に行ったときに地元の鍛冶屋でこれと竹用のナタを買った。

こちらの鍛冶屋も、もはやネットでは引っかかってこない。後継者がなく廃業してしまったのだろうか。

突然のひらめきで、過去に作った作品をnoteで無料公開することを思いついた。以前、wookという電子書籍で販売していたのだが、サイトが閉じてしまったので、紙の書籍化を企画して出版社に持ち込んだのだが通らなかった。そのうちAmazonのダイレクト・パブリッシング(セルフ出版)で出そうかなと準備していたのだが、タイミングを得ないでいた。

この『人工林の科学』は、林業を知らない一般の人向けに、熊野の大崩壊を通じてスギ・ヒノキの生態と施業の仕組み、現代林業の問題点とその解決策、そして僕の山暮らしの経験を通じて、森と暮らしのことを語ったものである。

間伐遅れの状況に加えて、現在の人工林はさらに深刻な問題をかかえている。

1)現在の人工林は長年の間伐遅れの荒廃度が進み、表土が流れてしまって再生能力が極度に落ちている。
2)シカ害が増えており、たとえ草や広葉樹が自然発生しても食べられ消えてしまう。
3)U字溝をともなったアスファルト道路や連続する砂防堰堤工事など、現代のコンクリート土木により山林斜面まで嫌気的な土中環境になっており、植物の再生力はさらに悪くなっている。

というような理由から間伐しても草木が生えず混交林に戻りにくい状況になっているのだ。間に広葉樹を植林しても多くは育たないか、シカに食われてしまう。対策としては強度間伐(荒廃林の多くでは「巻き枯らし間伐」をすることになる)は必須だが、加えて「大地の再生」的手法で水脈の開拓・沢の掃除などをして、気水脈の空気通しを改善しなければならない。

間伐遅れのあげく林野庁が打ち出した政策は伐出間伐にしか補助金をつけないというもので、おかげで強度間伐を通り越して皆伐が激増し、再造林されない山が出てきた。それでもまだまだ広大な間伐遅れの山々があり、伐る木はあるというのに「ウッドショック」などという奇妙な木材の枯渇現象が起きている。

一方で「自伐林業」という名の下に素人が危険な道作りにまで手を出し、弱い間伐で下草さえ生えない森のまま施業しながら、再造林しなければ木は生えてこないと思い込み・・・というような、まるで僕が森林ボランティアに入った当時のような、驚きの倒錯状況が再来し始めている。

「山は木の畑ではない」

日本のような多雨地帯の急峻な斜面での木材生産は、下層に草が生え中層に広葉樹が茂り、上層を育林木の針葉樹が占有しているような、健全な森の中でおこなわなければならない。その中で弱度の間伐で細やかな施業をしながら、森を管理するのが理想だが、それができないのであれば、まずは下草や広葉樹が林内に生える人工林に変えねばならない。

***

noteはシステム化されているので、pdfの原稿をコピペするだけでほとんどスライドしながらアップできてしまう。思いついてわずか数時間で3,888文字、図版5枚の「はじめに」をアップ。10回ほどの連載ほどで完結する予定である。

今日は魚座の新月で、スピリチュアル的には「愛のために個人的なエゴを捨てさせる力があり、芸術家には素晴らしいインスピレーションを授ける」んだそうだ。

自然を愛するすべての方々に、ぜひご愛読をお願いいたします。


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