シェアハウス=ノマドという生き方、奈良井宿「徳利屋」 炎の囲炉裏


大型シェアハウスとはいえ、なにしろ元は中山道の旅館である。天井に碍子(がいし)のついた古びた廊下を進んでいくのだが、奥には楽器などが置いてあるスペースと・・・

ガラス戸越しにギターを弾きつつノートPCをいじっている住人の女性がいる・・・

ここは共有スペースで、台所の続きなので食事スペースでもあるのだろう。このキッチンもすべてコウちゃんが手がけたものだそうだ。

奥に進むと中庭に面したいい感じの展示スペースのようなものがある。丸窓がオシャレだ。調度品はオーナーの趣味とのこと。オーナーは他にもシェアハウスを持っており、隣の奈良井宿(中山道の木曽路の宿場町で最も建物の保存が良い地区)で古材なども扱う骨董屋を開いているという。

というわけで、改装の際にアンティークを十二分に生かすことができたというわけだ。が、そこかしこに最先端の仕掛けがある。下写真のカウンターはパソコンに繋げるアーム付きの液晶画面があり、WiFiで動画編集をするためのスペース。ノマドなYouTuber(ユーチュバー)にはうってつけの仕事場であろう。

なんでも今「シェアハウスに定額で住み放題のサービス(ADDress)」があるんだそうで、月額4.4万円で提携した全国のシェアハウスで転々と旅しながら暮らせるといううのだ。

ADDressとは?

おお、もはやノマドという生き方が認知されている(!) コロナでリモートワークが増えている昨今、需要が増えているのだろうか? このシェアハウスも満室で10人以上が空き待ちしているという・・・。なんだかここ木曽路で時代の最先端を見る思いがした。

それにしても全体に見事な改装である。コウちゃんの大工テクニックもさることながら、オーナーの意思とセンスも光る。

これは古材の板をパッチワークのように使った再生壁。

古い建具を使ったはめ込みと開閉は非常に難しい技術だが、現在は吊り金具のレールセットがあるのでかなり自由度が増した。この金具もAmazonで入手したものだという。

昼食はベジの僕が牽引してまた蕎麦屋、お隣の奈良井宿へ。江戸時代にタイムスリップしたかのような保存家屋が立ち並ぶ。群馬の山暮らし時代、コペンを運転しての取材旅でこの宿場へ立ち寄ったことを懐かしく思い出した。

林道取材、西へ2.(木曽ヒノキ林を見る)

 

やっちゃんは木曽路は初めてとのことでこの風景に驚きを隠せない。蕎麦屋の予約まで時間があったので骨董屋さんを冷やかしに。

さて、蕎麦処「徳利屋郷土館 」は、脇本陣をつとめ旅籠として使われた建造物。文豪・島崎藤村もここを訪れており、「夜明け前」を書き始めた場所とも言われている。その見所はなんといっても入り口で迎えてくれる、この本物の「炎の囲炉裏」である。

先日、家に囲炉裏ができただかりの家田くんが吸い寄せられるのも無理はない。なにしろこのいまの日本で現役の炎の囲炉裏は滅多に見れるものじゃない。

自在カギにくくられた縄は、1年ごとにひと縄増やして太くしていく習わしなんだとか。食後にご亭主と囲炉裏談義をしてそう教えてもらった。「囲炉裏は日本人の原点ですよ」とつぶやくご主人に心から拍手を贈りたいと思った。

横木は正調の「魚」型である。初めて現役の本物囲炉裏を見るやっちゃんも満面の笑み。

ワタシ(囲炉裏専用の湾曲した焼き網)や消し壺があるのも現役で使われている証。

お蕎麦はこんな感じ。漬物や揚げ出し豆腐が付いてくる。蕎麦の味は諏訪の「八洲」にだんぜん軍配が上がるが、なにしろ建物と囲炉裏が凄いので100点(笑)。

さて、食後はシェアハウス「坂勘」のオーナーのいる古物商に急いだのだが、オーナーを待ちながら店内で骨董を物色しているとスマホが鳴り、相手はなんと矢野さんだった。それも上野原の事務所から。このあとは温泉でも入りながら滋賀に戻り、車を乗り換えて明日は京都の紅葉でも見て・・・などと考えていたのだが事態は急転直下・・・

(続く)


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