林道取材、西へ2.(木曽ヒノキ林を見る)


明け方3時過ぎにテントを撤収し、中山道の奈良井宿に進路をとる。中山道は江戸と京都を結ぶ主要路だった。群馬の中山道はすべてトレースしておいたので興味が浮かぶ。奈良井は中でも宿場の古民家が最も多く保存されている観光地のひとつ。といっても明け方に到着してしまい、お店なんぞはすべて閉まっていてまだ誰も歩いていない。コペンでゆっくり街道を巡回して建築を観察したり、井戸のようにつくってある湧水を飲んだり、写真を撮ったりした。入り口に戻ってみるとなんと車両侵入禁止の標識が・・・。

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日本三大美林のひとつ、木曽ヒノキの赤沢休養林を見にいく。これを僕はまだ見ていなかったのだ。途中、土場にヒノキが山積みされていていい匂いがする。林道に沿う川の渓相はすばらしい。駐車場と管理棟のある場所へたどり着くと、遊覧用の森林軌道があったりする。しかしここもまだ誰も来ておらず、僕らは小雨のなか自然林状態の残るヒノキを見に遊歩道を歩き始める。

標高はちょうど1,000mくらい。林床にはヒバがとても多いが、多種の広葉樹を抱えているところも多い。林床には落ち葉が堆積し、土が露出した場所にはシダが生えコケ類がカーペットを作っている。このような条件下では実生ヒノキが芽を出すことは難しいが、倒木が出たときがチャンスで、その倒木が朽ちかけてコケがつくと、そこに実生が芽生える空間ができる。やがて倒木が朽ちると、実生から大きく成長したヒノキは「浮き根」という独特の景観をつくる。

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伊勢神宮の遷宮に使うヒノキを伐採したときの切り株を見にいく。御樋代木(みひしろぎ)という、ご神体を安置する器(すなわち最も重要な社本体)を作るための祭事「御杣初祭」で伐られたもので直径は1mくらいある。斧の伐り跡がまだはっきり残っており、年輪の感じがよくわかる。年輪は1~2ミリ幅くらいだった。

馬籠宿に向かう。かなり観光地化されていて驚いた。それもそのはず、ここはかの文豪島崎藤村の故郷であり記念館もあるのだった。ようやく9時近くになり、その記念館の内部も観ることができた。

運転を交代しながら京都へ向かう。京都で何か一つ二つ見ていこうと、僕が選んだのは東山南禅寺近くにある金地院だった。狩野探幽や長谷川等伯の襖絵があるが、ここでの見物は小堀遠州の作庭と茶室である。前回の個展で掛け軸をつくった相方はこの茶室に魅せられた様子だった。

しかし京都は高い! 駐車料金が2時間1000円。特別拝観料の合計が1100円。二人で計3200円。これなら画集や写真集が買えるぞ!

というわけで一路大阪へ。通天閣近くのパーキングに車を入れ、ジャンジャン横町の串カツ屋とお好み焼き屋をまわる。仕上げは銭湯で汗を流し再び西へ進路をとる。

淡路島の海岸近くにあるヒトケの無い公園の駐車場でテント。こんなところはいきあたりばったりでもカーナビですぐに見つかる。なんたっていま地方へ行くと、週末とか特別な日以外はほとんど使われていない施設や駐車場がいくらでもあるからね。


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