諏訪湖にほど近いコウちゃん家(地図:青丸)で目覚め、現場でトラックを回収して(紫丸)中山道の贄川宿(緑丸)に立ち寄って、滋賀に帰還しようと予定していたのだが、実は前夜もう一つの取材依頼が茅野方面(赤丸)から来ていたのであった。
今回の「大地の再生工事×石積み花壇」@松本にも参加してくれた Tさんが、八ヶ岳山麓で購入したばかりの古民家に囲炉裏を作りたいので相談にのってほしいという。
目的地と反対方向ではあるのだが、いちど関西に戻ってしまうと再び来るのは難しいので皆に了解をとってコウちゃん運転のバンで付き合ってもらうことにした。行きがけに有名やパン屋があるというので立ち寄る。
霧ヶ峰の伏流水、自家製培養天然酵母と長時間発酵、ドイツ製ミキサー&オーブン蒸気焼成。・・・というこだわりの老舗「太養パン」。なんと創業104年(!!)・・・ってことは大正5年なんですけど、マジ???
最近リニューアルしたという店内は古材なをうまく使っていてなかなかいい雰囲気。
イートイン・スペースもあるようだ。
いいなぁ、こんな店が近所にある人うらやましいよね。
とはいえ、僕はベジの上にグルテンフリーもやってるので基本パンは食べない。指を加えつつ皆が買い物しているのを見つつじっと我慢。
ひや〜こりゃ子供たち大喜びのパン!
サバサンドうまそうだな・・・フランスパン大好きなのでまだバゲットが焼きあがってなくてヨカッタ(あったら衝動買いしてたかもww)。
皆はパンを車中で食べ始めたが、僕はおにぎりがあるのでそれを取り出して食べた。今回ベジ食の僕のために念仏道場のスタッフの方々が食事メニューまで気づかってくださったのだが、そのうえ昨日は帰り際におにぎりまでいただいていたのだ。ありがたや❣️
ところで諏訪といえば御柱祭。7年に1度行われるその祭りは来年がその年。パン屋の中にチラシが置いてあった。
さて、茅野の古民家であるが、場所は南八ヶ岳の西面を源流とする柳川の流域だった。正面い赤岳の前衛峰である阿弥陀岳や編笠、権現、横岳がドカン見える。この道を遡れば登山口の「美濃戸」、そこから赤岳鉱泉・行者小屋を経て赤岳を目指すのが最も人気ある南八ヶ岳の登山ルートだ。
何を隠そう今から38年前、僕は大卒後東京で就職したサラリーマン生活を2年3ヶ月で辞め、このルートで八ヶ岳の山小屋にアルバイトに行き、夏の初めから初雪が降るまでお世話になったのだった。赤岳石室小屋(現・赤岳展望荘)・・・八ヶ岳最高峰「赤岳」の肩にある標高2,722m、バリバリの稜線小屋である。
強烈な決意と不安を抱えながら、茅野駅から美濃戸口までのバスに揺られていった。つまり僕のフリーの人生の出発点がここ茅野なのだ。皆には何も話さなかったけれど、懐かしくないわけがない・・・。
古民家のあるその場所は明治期以後に開拓された農村地区だった。持ち主のTさんに地区の興味深い文化的風習を聞きながら、家周りと中を案内してもらったのだが、この標高と造りからして、囲炉裏が隠れているはず。畳を剥がしてみたら、やっぱり・・・。
コウちゃん家と同じタイプが和室に2つも。おそらくもっと大きな本式の囲炉裏が台所の土間近くにあるはずだが、すでに昭和の改装が施されてそれは確認できなかった。
囲炉裏プランと「大地の再生」的アドバイスを聞いてもらい、次の目的地へ。
途中、藤森照信作の「高部公民館」が見えた。ひと目でわかるそのエキセントリックな姿、枝付きの磨き丸太と焼き杉・・・今年竣工したばかりだそうだ。藤森さんは地元茅野の出身だが、有名建築家では伊東豊雄が諏訪にゆかりがあり「諏訪湖博物館」を設計している(その前も車で通過した)。
雨が降り出した。昨日の現場で雨の中の佇まいを確認しトラックを回収。皆さんに再びご挨拶し、中山道の贄川宿(にえかわじゅく)へ。
ここに、コウちゃんが改修の手伝いをしたというシェアハウス「坂勘(さかかん)」がある。
ざっと内部を案内してもらいながら、その業態を聴いたのだが、このところ大地の再生メンバーからもよく聞くところの「シェアハウス」文化が、こんな地方にも洗練されたかたちで花開いているのが驚きだった。
(続く)