諏訪の蕎麦と共同浴場、小さな「囲炉裏」に究極の自在カギを


今夜は下諏訪にあるコウちゃんの古民家に泊めてもらうことになった。売れっ子大工のコウちゃんはなかなか時間が空かないのだが、今回の庭づくりを手伝ってくれたうえ明日も案内できるというので、明日は中山道の贄川・奈良井方面に行き、コウちゃんが大工仕事で古い旅館を改装してゲストハウスにしている建物の庭周りを「大地の再生」視点から検分することになった。

やっちゃんと家田くんのトラックは現場に置かせてもらい、皆で彼のバンに乗り込んで夕食に向かう。19日の昼に麺切れでアウトだった諏訪湖畔にある蕎麦屋「八洲(やしま)」をリベンジしようとするが、到着がまたしても夜の閉店10分前になりそう。電話で予約をしてみると麺があと10人前しかなく、予約はできないとのこと。

とにかく行ってみると「営業中」とある! なんとか4人分食べれそうだ。この店、建物や調度品もなかなか凄いのだ。まず入り口にケヤキのどっしりした火鉢付きのテーブル。

座敷には北山杉の天然絞り丸太。テーブルも無垢板に蟻桟。

前に入ったとき(食べれなかったけどトイレだけお借りした)気になったこれは何なのだ?

コブだらけのニレケヤキ(アキニレ?)だった。製材すればすばらしい杢(もく)が出るにちがいないのだが、あえて丸太で飾ってしまうのが諏訪らしい(?)

さて蕎麦がきた。「八ヶ岳山麓に産する香り高い純良無比のそば粉を原料として、古来より引き継がれた家伝の卵切手打そばの技法」という「昭和天皇両陛下に献上」したこともあるという逸品。

さすがに蕎麦は、香り高く食感も素晴らしかった。こんな蕎麦は四国で食べることはできない。

温泉は下諏訪の共同浴場「菅野(すげの)温泉」だ。僕の大好きな温泉のひとつ、群馬時代も取材の行き帰りでよく入りに来た。コウちゃんの自宅から歩いて行ける距離で、彼もしょっちゅう利用しているとのこと。

源泉掛け流し、共同浴場にしては広々として湯船も大きい。熱湯である。湯船は撮影NGなので、出たところで感動中の二人をショット(笑)。

コウちゃんの借家は街中にしては珍しい農家さんの木造民家だった(これは翌朝の撮影)。築100年は軽く超えた、天井はどの部屋も囲炉裏で燻されて黒々としている。最初、テーブルで飲んでいたのだが・・・

コウちゃんが突然

「実はウチに囲炉裏があるんです、大内さん火点けてもらえませんか?」

と言うのだ。隣の小部屋に畳の一部が正方形に切ってある。いわゆる茶室の炉のようなものである。それをパカっと外すと、小さな囲炉裏が現れた。バーベキュー用の炭(マングローブ)があるというので、卓上コンロで炭に着火し、囲炉裏にのせてみる。初めて火を灯したというのだが、灰はそれほど湿った感じもなくカビ臭くもない。

というわけで、酒とツマミはあっという間にこちらに移動するのであった(笑)。

ヤカンを吊るしたいというので自在カギを作ることにした。根太天井にビスを打ち、針金を吊るして・・・

銅の可愛いヤカンを吊るしてみた。

家田くんは疲れたみたいで奥の部屋で先に休んでしまったが、こちらは囲炉裏に食いつく二人(笑)。

初めて火がついた囲炉裏に喜んで写真を撮りまくるコウちゃんww。いちおう針金を曲げれば高さが調節できるのでこれも「自在カギ」と言っていいよね(笑)。

家の中の炉に火があるというのは空間を劇的に変化させる。銅のヤカンがまたよく似合っている。

ちょっと余裕のある大きな農家の和室には、このような茶を立てる炭火用の囲炉裏が切ってあることが多い。なんだか焚き火と囲炉裏づいている今回の旅だが、長野はやはり囲炉裏の本場だ!・・・と思わされる出来事が、明日はまた立て続けに起きるのだった。

(続く)


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