いよいよエンジン機器で草刈りしなければ・・・と思ったのだが、気温の上がらない朝の早いうちにとなると騒音が気になる。いちばん激しく刈らねばならないところに住宅が隣接しているからだ。
というわけで手ガマで。普通のノコガマだけでなく長い柄のものも両方使って。しかし、やっぱり滝のような汗。1時間ほど格闘したら、上から下まで汗でぐっしょりになり、朝から風呂!
いまは太陽熱温水器だけでお湯ができるのでガス代はかからない。脱いだ服と下着は洗濯機にぶち込んで、少しぬるめの湯で、湯船のなかで髪の毛までジャバジャバ洗ってしまう(石鹸やシャンプーはほとんど使わない)。
しかし日本の気候風土はほんとに植物をよく育てるなぁぁぁ・・・と強烈に実感するのがこの季節である。草刈りすれば刈り草がたっぷり出る。他の季節なら刈ったその場所にばらまいておけばいいが、刈り草の量の多いこの時期は畑側のものは堆肥用に小山に積み(生ゴミもこの中へ入れる)、駐車場側は車のわだちで草が生えない場所にグランドカバーとしてまいておく。
しかし、こんな季節だというのに、この日本で草がほとんど生えてこない場所がある。コンクリートや砂利に覆われた場所ではありませんぞ、ちゃんと土があり木が生えているにも関わらず、だ。
僕のブログを長らく読んでくれている人はもうご存知ですよね、ハイそれは荒廃した、手入れが放置されたスギ・ヒノキ人工林の中なのです。なぜって植えられたスギ・ヒノキがぎゅうぎゅう詰めになって林床に光が射さず、草が生えてこれないからだ。
すると、大雨が降れば斜面の表土がどんどん流れてしまう。1cmの土壌ができるのに100年かかるといわれている(これは日本の場合。植物繁茂の遅い雨が少なく寒い西洋ではその5~10倍の時間がかかる)。が、斜面で大雨が降れば、草の根のない場所など1cmの土が流れるのはワケもないだろう。
表土は有機物、土壌微生物、その死骸、植物のタネなどを豊富に含む。それが下流にどんどん流れ、窪みに堆積する。そして台風豪雨などが来れば川へと流出する。それは適度なら水性昆虫や小魚にとってはいい餌の元になるだろう、そして海まで流れ降れば海藻を育て、貝や小魚のいい養分となるだろう。
ところが、現代日本では堰堤や堰やダムのない川はほとんどない。そのほとんどはこれらの底に溜まってしまい、どんどん上から圧縮されていき、土は無酸素状態となって、ヘドロ化するのである。
これがいったいどんなことか? 1千万haという、実に日本の全森林の4割以上という世界にも類のない広大な人工林を作りながら、手入れ不足で貴重な表土を流してしまい、それが土木構造物にせき止められてドブ化しているのだ。
縄文時代からこの平成・令和にかけての長い長い歴史の中で、こんな異常なことがおきたことはたった一度もない。今僕らは、初めて経験する異常事態の中にいるのである。
以前なら人工林を皆伐してもすぐに草が生え灌木が出てきてすぐに自然林に戻った。それは表土がまだ残っていたからだ。そして健全な沢の流れがあって、土中に地下水と空気の動きがちゃんとあったからだ。
いま、堰堤だらけにしただけでなく、その山の斜面の空気の流れが詰まっている。沢の掃除を誰もしなくなり、近代土木の構造物自体がその詰まりを加速させているのだ。
土が無酸素状態になると、タネが発芽しにくくなり、ヤブ化が促進される。枝枯れがおきる。土においては嫌気的な微生物が増えて、落ち葉からできた腐葉土をどんどん分解してしまう。それがまた雨で流れるという悪循環を生んでいる。
このような指摘は今の学者たちの中からはまったく出てこない。
熱海の土石流のニュースをみていたら谷に埋めた盛土が原因だとか、ソーラーパネルが原因だとかツイッターの情報が流れてきた。谷の源流部に残土を埋めるなんてとんでもない話だ。ソーラーパネルの下は暗くて草も生えない、つまり荒廃人工林と同じである。そもそもが山の尾根にあんなものを作ること自体狂気の沙汰である。
もう何年も前からこの国の為政者や学者たちには絶望していて、彼らにメッセージを送る気も失せていたのだが、熱海の悲しみを見ていたら書きたくなった・・・。