東京とんかつ/とんき、のもとや


東京へ来れば会いたい人、合うべき人がいないわけではないが、運慶にひとり沈潜していたい・・・誰とも話したくない夕暮れだった。

ホテルは東京駅の八重洲口にとってある。上野から御徒町までアメ横を歩いて、ユニクロで靴下を買ってから(着替えなしでショルダーバッグだけで来ている/笑)山手線で目黒のとんきへ。

4時開店で4:30に着いたらすで満席で待ち人がかなりいる。30分ほど待ってカウンターへ案内される。5年ぶりのとんきだが、内装も接客も味もまったく変わらない。創業者の老父が、オープンキッチンという劇場のど真ん中で、揚がったとんかつを元気に切っている姿もそのまま。

独特のかたい衣で肉から簡単に剥がれていく。まるでそれをよしとしているかのような揚げ方。しかしその風味はすばらしい。豚汁も肉がたっぷり。ご飯とキャベツをおかわりした。

翌日は2時の飛行機までフリー。銀座まで歩いて、今年4月に竣工した GINZA SIX へ。みゆき通り沿いという銀座の核心部。設計は谷口吉生。香川にも谷口氏設計の「東山魁夷せとうち美術館」や「猪熊弦一郎現代美術館」がある。

アートに精通していてかつ抑制の効いた建築、オトナの空間、という点で谷口吉生はピッタリだったのではないだろうか。すっきりとしてディテールがきれいだ。

このビルに入っている家具店のCIBONEでピート・ヘイン・イークの作品を見ようと思ったが現物はなかった(青山店にはあるらしい)、カタログを貰ってビルを出る。

ピート・ヘイン・イークはオランダのアーティストで、スクラップ木材や工業廃棄物などを用いてユニークな家具を作っている。やはり立体ものは実物を見て感じたい、残念。

銀座から新橋、浜松町にかけてはとんかつの有名店が多い。食べログで現在この界隈1位の「とんかつ大門 檍(あおき)」を目指し、グーグルマップを頼りに歩いて行くと、なんと日・月休みの店だった。

結局、モノレールの浜松町まで歩いてしまった。芝大門、むかし山と溪谷社のビルがあったのがここ。無名時代に作品集のポートフォリオを持ってさすらった界隈。私のイラストデビューはここから始まったのだ。

雑居ビルの2階にあるとんかつ屋「のもと家」へ。11:25、開店5分前に着いたのだが階段の下まで行列。開店と同時に列が動く。私は1回転目になんとか入れてカウンターの末席へ。危なかった、ここで座れなかったら飛行機ぎりぎりだったかも。

とんきとは対照的な店内。窓際に並んだ小さなテーブル席、目の前で調理が見えるカウンター。

ここはたしか山本益博らの「東京とんかつ会議」に殿堂入りした店だ。ノーマルなロースかつ定食も値段にしては破格の良さらしいが、せっかくなので鹿児島【六白黒豚】で。

茎わさびと醤油の食べ方を推奨しているのがユニーク。

いろいろと、こだわりが。

ご飯は大盛り無料。

低温揚げで衣が白い。肉質は柔らかく脂の風味はすばらしい。

しっぽのところ。脂身はたっぷりあるが少しもくどくない。これなら160gか厚切りを頼むべきだったかも。

わさび醤油をつけてみた。確かに合うが、この豚には勿体ない。塩だけで食べたい。それにしても、成蔵もそうだが、こんなとんかつは四国、いや関西でも食べられない。

空港のラウンジでお茶。今回はパソコンもタブレットも持ってきていない。

運慶展のリストを見ながらトラベラーズノートに感想を書く。

帰りは富士山の真上を通って行き・・・

京都の上空を通過。御所、二条城、鴨川の合流するところがはっきり見える。

高松空港に置かれたイサム・ノグチ最晩年の作品「タイム・アンド・スペース」。それを眺めながら帰還。

この作品は札幌の「ブラックスライドマントラ」とともに、イサムの死後、パートナーであった石工の和泉氏らが意思を継ぎ完成させたものである。

今週末は男木島で石を積まねばならない。その前に遅れまくった本の仕事を片付けて・・・。


「東京とんかつ/とんき、のもとや」への2件のフィードバック

    1. 居酒屋で飲むより美味いとんかつ屋でビール傾けるほうが私には向いてます。たいがいカウンターが白木で清潔ですから。でもさすが東京というべきか、短期滞在だと行列がくせものです。

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