朝から廃材角材の荷上げ。アトリエには車が横付けできないので、車道から荷物を背負って上げなければならない。軽トラをアトリエに最も近づくところまで移動(イタルさんの駐車場のところ)、そこでロープを解いて廃材を肩で担いでいく。短い材は背負い子で上げる。相方も参加。
僕は小さな頃から猟犬の世話でよく歩いていたし、高校時代は坂道のある片道20分の自転車通学、大人になってからは山小屋でのアルバイト体験があり、八ヶ岳で30kgの荷をボッカしていたことがある。それに40代になるまで車を持たなかったので、徒歩と自転車を使うことが多かった。すなわち普通の人に比べて足腰が丈夫なのである。
こんな僕に付合う相方は大変であろう。足腰が弱いと、あらゆる作業において腰に負担のかかる動きになりがちである。ところで、来月は尾瀬をトレッキングしようと思っている。荷上げはいいトレーニングになるゾ、ガンバレ相方♪ その後は廃材の釘抜き。はー、これがまた地味な作業なんだわ。
そろそろトイレがいっぱいになってきたので、し尿処理穴の準備をする。この穴は今年の1月につくった2つ目の穴で、し尿は合計2回入れ、今回は3回目になる。アトリエではおよそ1.5~2ヵ月サイクルでこの作業が巡ってくる。
これは経費の節約にもなる。バキュームカーで汲取ってもらう金額はバカにならないからだ。そして、ここで使ったオガクズとシュロ皮、これを肥料に使えば廃棄物も循環する。昔はし尿を「肥溜め」に入れて数カ月枯らし、液肥として畑に蒔いていたというが、その方法はやっぱり抵抗があるよなぁ。
昔の方法はし尿を漏らざず使うよう嫌気性醗酵させ、効き目の早い液肥として使っていたわけだが、僕らは地中にも染み込ませ、シュロ皮やオガクズを使って空間(濾床)をつくり、これを好気性分解させているわけだ。そして、無機物として固着させた木質分解素材を畑に蒔いてみようというわけである。
嫌気性だと分解に時間がかかるが、酸素をとりこんで活動する好気性微生物だと分解はとても早い。「分解」とは簡単にいえば微生物や菌による「有機物の無機化」のことである(植物の根は無機物に還元されたものからしか養分を採れない)。
分解の過程はその臭いで解る。暖かい季節なら、わずか数日でし尿特有の臭いは無くなる。湿った土の爽やかな香りがするだけだ(微生物と付合うにあたって、この「臭い・匂い」という人のセンサーは重要である)。
昨日は、その濾材をスコップで取り、畑の畝に置くことをやってみた。最初、し尿系のものを肥料にすることはためらわれたが、これまで経過とその分解具合からイケルのではないかと思った。それに、イタルさんにジャガイモ畑の肥料不足を指摘されていたからである。シュロ皮などは原形を留めているので雑草避けのマルチ材にもなる。しかし、肥料の与えすぎは十分注意しなければならない。
さて、今回のし尿処理穴を空にしたので、新たな濾材を入れた。シュロ皮、それに虫食いでぼろぼろになって地面に転がっているスギ材をチェーンソーでお煎餅のように切ったもの、そのオガクズ、そして枯れ草など。燠炭(おきずみ)の細かなクズなども非常に良い素材だと思う。これも投入する前に入れてみようと思う。
木質素材はいま山に溢れている。昔は考えられなかった方法で、し尿を処理・活用する方法ができるはずだ。日本という湿潤温暖な山の特性を活かして。だけど、これだと重金属入り添加物や遺伝子組み換え食品などを食べてる現代的悪食の人はアトリエでの便所使用は禁止、ってことになりかねないよな。ははは。