10,11日と『現代農業』の連載の本描きに入る。この連載、見開き2枚、4ページなんだけど、文、イラスト、写真の三つどもえで、たとえば写真の選択やキャプションもすべて自分で考えている。今回のテーマはトイレ・ゴミ・排水などのノウハウに迫る。この捨てるという行為が都会生活ではなかなか見えてこないし、その本質をしっかり活字にしている人が少ない。この連載、単なるアイデアや事例の紹介ではなく、自然の中の暮らしの本質が鮮やかに浮かび上がるようにしたいと走り続けている。
しかしまあ僕はもともと水戸の町場の生まれで、仕事を始めてからは東京の住宅密集地に長く住んでいたし、日の出町の4年間は山間部の暮らしとはいえ都内にはちがいなく新興住宅地の一角であった。それがいきなりここに来て「山暮らし再生プロジェクト」なんて大上段のタイトルで連載を始めたわけで、実際の暮らしを体験しながらアイデアを生み出しモノを書くという自転車操業なのだ。
しかし、いままでずっと考えあたためてきた想いは強力なものがある。なにしろ僕は子どもの頃から自然とそれに寄り添う暮らしが大好きで、今の今までその想いが変節したことは1度もないのだ。山暮らしや自然派の人たちの中には、まったく逆の暮らしの反動から目覚めて、故郷に回帰するがごとくのめり込んでしまうタイプも多いのだが、僕にとってこの山暮らしは、最初からやりたかったことすべてであり、ここは「人生の最終到達点」と言っても過言ではない。
さて、その月刊『現代農業』全10回の連載は7回まで来た。ここで過去6回のタイトルとその内容を振り返ってみよう。
1)新連載、山暮らし再生プロジェクト・・・ここに来た経緯や連載の内容紹介。
2)カマド型・薪ストーブ「マッキー君」登場!・・・薪と薪ストーブについて。
3)森から最高の贈り物、それは「水」・・・山の水源と配管について。
4)「屋敷」は山への誠実さの結晶・・・敷地と古民家についての考察。
5)ここなら存分に「焚き火」できるぞ!・・・焚き火の魅力とノウハウを語る。
6)住まいは石垣ワンダーランドに守られて・・・石垣の探求と暮らしに石を使うこと。
7)悩みの種が喜びだ!「自然流トイレ」・・・自然力を活かしたトイレ、排水について。
あと3回はいよいよ「畑」、そして「料理」と続く。これで火・水・土に寄り添った新たな山暮らしの表現が伝わるかな? 最終回は人と自然の紹介、もしくは衣類等に焦点をあてた「補修しながら暮らす」・・・気持ちのいいモノを大事にしながら、同時に創造する暮らし、という締めくくりもいいかもしれない。連載終了後はこれを単行本にまとめる予定だし、出版後はこの連載の原画展やライブイベントも考えている。
本といえば、いまもう一冊の森林の本を考えている。その取材旅行も・・・。畑の種まきも待っているし、まったく忙しいのだが、やるしかないのだ。