塩サバとキャラブキ


高崎での個展まであと一ヶ月となった。でも外でやることがいろいろあって忙しい。まずは明け方起き出して「間伐掲示板」への文章書き。その後畑の水やりと草刈り。昼食兼朝食はまず採りたてのフキでキャラブキをつくる。さらに鰹だしで味噌汁。具は豆腐と、これまた摘みたてのミツバとネギ。メインは藤岡「たむら」でいただいた塩サバの焼き物。保存しておいた熾き炭を取り出してちびカマで焼いた。うーん絶品である。

middle_1147739444

middle_1147739497

キャラブキと塩サバと言えば、紀州の林業作業員で作家である宇江敏勝氏のエッセイを思い出す。作業員時代の昔の日記なのであるが、中でも食の描写は秀逸で、飯場で飯炊きのオバちゃんが作ってくれるという作業員の弁当がすごく美味しそうなのだった。蓋を開けると白いご飯の上に焼いた塩サバの半身が載っており、その脇に焦げ茶に煮しめたキャラブキ、そして梅干し。これだけだが、実にいい組み合わせで「旨そうだ!」と思った。そして、林業作業の空腹にはさらに旨かろうとも。

middle_1147739619

今日は、その組み合わせを図らずも再現することとなったわけだが、やはり味的に塩サバとキャラブキの組み合わせは素晴らしい。宇江氏のエッセイでは他に茶粥、そして飯場で焼酎を飲むとき、ボトルにマジックペンで線を入れておき、その日の飲む分を決めておく、というのが印象的で忘れがたい。焼酎に関しては僕も見習わねばならない(笑)。

*

「間伐掲示板」にまた書き込みが来ているよ、と相方に教えてもらい、さっそく返答を返す。こんな山の中でリアルタイムでネットを開いて、まったく忙しいことである。この人もきっと著作を読んでくれていないな・・・と思う。著作とHPの過去ログに答えはすべて書いてあるのだが。なにしろ日本で一番ホットな林業BBSだからなぁ。通りすがりの林業初心者が見ていないとも限らない、どんなに忙しくても間髪入れずのレスは必用だ。しかし、これでまた問題点が深化していく。ありがたいことである。

話は変わるが、僕も若い頃、飯場を回って働いた経験がある。いきなりフリーでイラストの仕事を始めたものの、仕事がほとんど来なくて、現場仕事で食いぶちを稼いでいたのである。八ヶ岳の山小屋での半年の住み込み。都内の建築工事現場での型枠解体工。最も長く経験したボーリング工事の助手では、地方の旅館泊まりで現場仕事を経験した。群馬や栃木、福島にも滞在した。昼間はハードな炎天下での現場仕事。夜は酒盛り。

その後、子供ができてからは家を長く空けるわけにいかないので、築地やアメ横、肉屋など食品市場関係でバイトした。こんなことが、30過ぎまで続いた。自分でも不思議なのだが、当時のバイトで出会った職人さんたちの全ての顔を、詳しいディテールまで今でもはっきりと思い出すことができる。で、何が言いたいのかというと、現場仕事のときの弁当はウマイ! ということである(笑)。

午後から古い堆肥をフルイで漉してそれを畑にまく作業をやった。堆肥とはいえ、動物糞や米ヌカなどは使っていないのでいい土の匂いだ。が、うーん、地味な作業だ。でも昨年は育たなかったキャベツが、今年は結球し始めている。木質堆肥と木灰は効いているのかもしれない、と思うと根気が続く。

middle_1147739697

middle_1147739754

middle_1147740677

それにアトリエの御神木のカシの木が春先に大量の葉っぱを落とす。それをまた堆肥に積みたいので古いものを畑に移動して場所を空けたい。常緑樹は落ち葉がないという印象があるだろうが、そんなことはないのだ。春先の新芽が出る頃には古い葉を落とすのである。畑までは傾斜のある道なので、一輪車が使えない。歩いて堆肥を担ぎ、畑まで何往復もするが、暗くなりかけたので、エンドウ豆の種まきをして終了。

今夜は焼酎がきれたので自家製梅酒。これもまた圭かな。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください