侍マラソン


安中市で行なわれる「安政遠足  侍マラソン」を見に行った。

このイベントを知ったのは、昨年「霧積温泉」に行ったとき買った焼酎「まらそん侍」というのを発見したのがきっかけである。このラベルのイラストが妙に気になり、そしてタイトルに笑ってしまったのだ。が、実は安中市で「侍マラソン」というイベントが行なわれていると知り、またぶっ飛んでしまったのだ。で、毎年5月に行なわれるこの仮装マラソンを見にいくことを、前々から計画していたのだった。

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▼まずはその発祥を『東京新聞』からどうぞ。

「一八五五(安政二)年、安中藩主・板倉勝明が、藩士の心身鍛錬のため、安中城から碓氷峠の熊野神社まで中山道を走らせた故事がきっかけ。一九五五年に当時の記録が見つかり、地元有志が保存会を結成。七五年に『日本のマラソン発祥の地』として、第一回大会を実現させた。着順だけでなく、参加者がユニークな仮装でアイデア賞を競うのが人気を集め、第一回では九十四人だった参加者も年々増加、初夏を告げる風物詩として定着している」

う~んマジかよ! と思うだろうが、なんと今年で第三十二回にもなる歴史あるイベントなのだ。コースもなかなかすごいぞ。約30kmの峠コースと、約20kmの関所コースの2つあり、前者は坂本宿までだが、後者の峠コースは碓氷峠頂上の熊野神社までという登り坂を含む。車で碓氷峠を越えて軽井沢へ抜けたことがある人なら、そのコースのハードさがわかるであろう。

さて、いつもより早く起床して、スタート地点の安中市文化センターへ向かう。が、スタートは8時、すでに遅し。Copenが到着直前に丘の上で花火が上がる。というわけで、選手を追うべく国道を進むと、ちょうど選手たちが国道を横断するところに出くわし、警察の誘導で僕らの車はしばし停車することになった。ここでまず出発直後の写真を撮ることができた。最初に飛ばしている選手は仮装していない走りに徹した人が多いが、その後ろから仮装だらけになってくる。イベントの趣旨から侍系が多いけど、アニメキャラやメイド服なんかもいて楽しい(おいおい)。

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松井田でのショット。ここも中山道の宿場町。旧道は風情がある。そしてここから見る妙義山は絶景である。道の両側には町の人が椅子を出して座り旗を降ったりして応援する。氷水を用意してランナーに渡す人もあり、なぜかメイド服の小学生チアガールが集団でエールを送っていたりする。うーん観客もすごいぞ。

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松井田から坂本宿までは国道を行く。Copenの窓から応援しつつのショットをどうぞ。牛若丸やスーパーマンや荒川静香までいたりして笑ってしまう。観客の中には「ここで一芸」なんて看板を持っている人もいたりして、ギャラリーのワザにも歴史を感じさせるのであった(笑)。

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ここからはゴールの旧碓氷峠・熊野神社までは車が入れない。国道から軽井沢に抜け、熊野神社に回り込むことにする。時間が早いせいか日曜日というのに車がほとんどいない。Copenをオープンにして新緑を楽しんだ。この峠の樹林は大樹のトチノキが連続しなかなかの逸品である。難は舗装が痛んでいることで、Copenはかなり揺さぶられる。

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軽井沢から熊野神社へ。旧中山道を通っていく。碓氷峠は太平洋と日本海の分水嶺になっている。ちょうど群馬県と長野県の県境であり、その境に熊野神社があり、ゴールはその鳥居の真ん前である。

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ゴールするたびに、神主さんが太鼓を叩いてくださる。なかなかの演出だ。僕らが到着したときはすでに何人かがゴールし始めていた。ちょうど女性のトップランナーがゴールしたところで、テレビ局がインタビューしていた。

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車が混まないうちに峠を下り、芭蕉の句碑やショーハウス・教会などを見学。

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商店街のトトロショップでは自作イラストの「トトロカレンダー2006」を発見! 相方も彩色を手伝ってくれた神流アトリエでの仕事である。入荷待ち、ってことは相変わらず売れ筋なのかも・・。

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それにしても天気がいい。せっかくなので浅間山の裾野を通って帰ることにする。「鬼押し出し」という溶岩名所をまだ見ていなかったのだ。ところがここを通過するまでになんと三カ所も有料道路料金を支払わされる上、鬼押し出しは完全なる観光名所になっており、溶岩の上にドでかいレストハウスのようなものが建っている。しかも溶岩の中は「園」と称して入園料を取られる。土産物屋では希少種のオキナグサを販売していたりする。ばかばかしいので外から写真を撮って帰る。

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でも、コケモモを久しぶりに見た。一帯は樹木が見当たらないか、あっても矮小になっていて、高山帯の様相である。ここにはアサマブドウという和製ブルーベリーが自生する。そして高山蝶のミヤマモンキチョウはそのアサマブドウを植樹とする。

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帰りにまた八ツ場ダムの予定地を回った。日曜日で観光客が多そうなので、川原湯温泉は入らなかった(最近はダムに沈む名湯ということで観光客が増えているらしい)が、対岸の「三ツ堂」に行ってみた(ここには誰もいなかった)。岩窟に石仏がずらりと並んでおり、お堂の中には閻魔像があるというが、鍵がかかっていた。後で知ったことだが、この前の小道が旧信濃街道であるそうだ。そして、このお堂あたりは貧しい旅人や托鉢の僧、盲目の歌娘「ゴゼさん」の泊まり場であったという。

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少し先に進むと水場があった。上下は桑畑だがずいぶん刈っていないのか大樹になりかけていた。対岸に川原湯温泉の建物がみえる。ダムができれば、このあたりまで水没するということだ。すでに両岸で工事が始まっていた。この時代にこんなことが行なわれていることが信じられなかった。

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「安政遠足  侍マラソン」は、なかなかすばらしいイベントであると思った。歴史性があって街道の皆が楽しめるところが良いし、道というものを見直すきっかけになると思う。今年のエントリー総数は1.525人だそうだ(東京新聞より)。

え? 来年はタマリンの着ぐるみで出場しろ、って???


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