配管する/その2


さて、昨日の水道工事について、続きをひとつ。この水道工事の中に、山暮らしに欠かせない重要なテクニックがちりばめられている。イラストとともにそれを書き留めておこう。

地中の漏れを確認するために、イタルさんの記憶にそって掘り出した40年前の配管の塩ビ管。こんな感じ。

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そこを切断(枝打ち用ノコを使用)すると、当然のことながら水がどばっと吹き出してくる。

pipe2

木枝を削って栓をする。このとき内径より細く削ってビニールを(スーパーの買い物袋使用)絡ませるとよく水が止まる。「栓は木の枝」が基本。最初から円筒形で削ればすぐ栓になるし、木は水を含むと膨らむのでよく締まる。

pipe3

さらに地面に木杭を打って、この止水栓が飛ばないようにする。テープでぐるぐる巻きにするより、このほうが確実だ。力学の原理、簡単なことなのだが、杭を打つということは、経験していないと思いつかないものだ。「栓には杭止め」杭の代わりに大きな石なんかでもいい。

pipe4

このまま一晩様子をみた。これで最終槽に水が溜まらなければ、この切断部から上流に漏れ箇所があるのだ。水が溜まるようなら、この下流部に漏れ箇所がある。結果は後者だった。そこで、この地点から黒パイプに接続して、Oさん宅の元栓まで地表配管にし直すことになった。

pipe5

専用のジョイントを購入しておいたので、それでなんなく接続できた。

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さて、ここから下流の工事だが、Oさん宅の元栓まであと5mというところで、60mの黒パイプが届かない。幸い、Oさんが古いパイプを持っていて、それを継ぎ足すことになった。

ちょうど廃品のステンレスパイプがあったのでそれを継ぎ手に使うことにする。「管の継ぎにはオスメスのかぶさりがあること」が基本。「接着剤でくっつけて添え木してテープ巻き」なんて考えないことだ。水圧で吹き飛ぶのがオチ。

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これが元はなんの部品だったのかは不明だが、片側にテーパーがついていて、その部分はちょうど黒パイプに入るのだが、もう片側は径が大き過ぎて入らない。そこで金ヤスリで亀裂(スリット)を入れ・・・

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トンカチで叩いて径を細くする。黒パイプ側も切れ目を入れて、内側を火であぶって柔らかくしてから継ぎ手を差し込む。「火あぶり」は石油樹脂系の素材によく効く。

黒パイプと、継ぎ手のステンレスパイプは、それぞれ割れ目を反対側に持ってくるようにして、火あぶりのパイプが柔らかいうちに強く差し込む。

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これだけじゃ水圧に負けて抜けてしまう。とくに下流側は大きな水圧がかかる。針金でしばって補強する。ペンチでねじるときは、ねじりながら締めようとすると針金が切れる。引っ張って締め、すき間をねじる、これを繰り返すのが「針金(番線)締め」の基本。

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さらに継ぎ手両側の針金を結んで締める。これも同じく引っぱり締めで。

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経験豊富な老人たちと、一心不乱に作業に打ち込むとき、彼らの何気ない動きや言葉にハッとさせられることがしばしばある。今年の水道トラブルにはずいぶん時間を取られたが、学ぶところも大きかったってわけだ。

町で遊びほうけている平成のジジババ様に比べ・・・現役で暮らす山村のジジババ様は知恵の宝。

それはともに暮らし、汗を流して初めて伝わるのだが・・・。


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