恒例の都立武蔵五日市高校で紙芝居ライブと森林の講演をやってきた。毎度のことながら朝5:30に出発、秩父→名栗→青梅。ここで朝食とコーヒーをしながら講演の画像データなどを再チェックする、というのがいつものパターン。日の出町を抜けて五日市へ。アトリエから五日市まで全行程が新緑の中の山岳ドライブ。Copenだと運転がぜんぜん苦にならないね。
今年は2年生の人数が多く、ちょっと緊張気味で講演はスタート。Macと会場置きのプロジェクターの相性が悪く、開演ぎりぎりまでハラハラさせられることが多いのだが、このごろはパソコンに詳しい若い世代の先生方もいて、Winのマシンでパワーポイントデータを開いてもらって、11:00から1時間の講演は無事終了。
さて、お次は14時から次の本の出版打ち合わせ。それまでの間に日の出の「きりんかん」に顔を出してみる。ちょうどスギちゃんも帰ってきていた。(今日は昆虫観察会の講師をやっていたそうだ)。2番目の子、悠樹君と。
マキさんはここで悠樹君をみながら店をきりもりしているらしい。長女のくるみちゃんは5歳になり保育園に通っているという。月日の経つのは早い。それにしても悠樹君なかなかいい顔をしている。きっと両親の手伝いをしそう。
私の絵が飾ってある喫茶コーナーも健在で、ここでお茶をのんできました。
仕事の打ち合わせは武蔵五日市駅前の「山猫亭」で。相変わらず行き交う車はバスとトラックが多い五日市。何度も来たなつかしいお店なのです。
ランチプレートが美味しいです。これは「チリコンカンライス」。香辛料を効かせた煮豆と五穀米。
打ち合わせは2時間たっぷり編集者氏にしぼられた(笑)。うーん出版がどんどん伸び伸びになってしまう! 頑張らねば。
夕刻、奥多摩町に引っ越したという友人宅へ。宮崎さんは西洋毛針釣り竿を作っている職人さんなのです。材料は竹。中国産のトンキンバンブーを正三角形に削りそれを6角に張り合わせて作られたバンブーロッド。美しいですね。
宮崎さんの家は、多摩川の河岸、岩場に練り積み石垣をベースに建っている木造民家だった。木立がうっそうとしている。冬は寒いだろうが夏は最高だろう。
奥多摩町にも空き家がいっぱいあるそうだ。安価にたやすく借りられる家は条件が悪い場所が多いものだ。だけど、その解決法を業者に頼めばものすごいお金がかかる。そして、それが必ずしもいい方法とは限らないのだ。だけどあきらめることはない。私の次の本はそれを克服するためのノウハウブックになるだろう。
人が山に住まないと、環境はどんどん悪くなる。敷地が薮になり、沢がゴミ捨て場になってしまう。町にいる人はそれを知らないでいるが、悪い水やら花粉症やら毒だらけ新建材やらで結局は自分たちに帰ってくるのだ。戻そうと思っても取り返しがつかないことになってしまうのだ。
スギちゃんの近況を聴いていると、最近の森林行政とその周辺は二酸化炭素問題に逃げ込んで、環境と木材生産を両立させる人工林問題の本質とは何なのか、もう何が何だかわからないままグジャグジャになっているという。反省がないままエコネタに逃げ込んでいるのだ。
私は高校生たちに間伐の重要性と環境と木材生産、林業の本質をしっかり話してきたけどね。
山と川はつながっている話をしたけれど、いまの川の現実まではさすがに語れなかった。一見清流でも合法的に毒(合成洗剤や工場廃液、農薬、除草剤)を流している河川。そこに養殖魚を放流して金を稼ぐ地元漁協。ダムだらけにして川の最も重要なベースになる微生物・藻・水生昆虫相を破壊する非自然な水放流。
私が子供の頃は、川に行けばどこにでも釣り人がいたものである。その魚が食卓にのることも少なくなかった(淡水の魚でさえも)。いまは気軽に釣りができない。漁協が養殖魚を放流しているので、自然の雑魚を釣りたい人まで入漁料を取られるからだ。年間入漁券なるものを買わなければ、夕刻1時間のおかず釣りにさえ、漁協の監視員に見つかれば数千円とられてしまう所もある。
もちろん自然魚自体も激減した。毒と工事と養殖後の悪循環。川辺はこぎれいになったが自然度は消滅。動植物が生き生きしていない川は浄化力もない。こうして地元民や近所の子供たちが自転車で気軽に釣りにいく場所が消えた。
釣りと漁の文化が消え、環境を監視する人がいなくなった。そして「養殖魚の釣り堀状態」のときにだけ、都会から大挙釣り人が押し寄せる。だから毒を捨てる側には好都合であろう。
いま、新しい感性と知性を持った人が、ぜひとも山に住まねばならない時代なのである。
宮崎さんに「このロッドに似合うリールは?」と聞いて持ってきてくれたのがコレ。こんなタックルが似合う川を取り戻さねば。スギちゃんの子供たちの世代のためにも。
帰りは小川温泉「花和楽の湯」でプハーっと大休憩して、深夜に無事帰還しました。