囲炉裏部屋改装中。
床板をつくる。丸太をクサビで半割りにして、1本の丸太から2枚の厚板をとる。
墨壷で基準線を入れてみみをカット。
鉋をかける。秋伐り・葉枯らしのスギ材の美しさ。この色つや、ホームセンターで売ってる人工乾燥のスギ材とはぜんぜん違うのだ。ほとんど多くの人が、この事実を知らない。昔は伐り旬を守って、天然乾燥するのは当たり前のことだった。こうすると皮を残していても虫がつかない。
スギの生木はとくに水分を含みやすく、心材の水分が抜けにくい。伐採後に生枝を残したまま林内に放置しておくと、芯の部分の水分を引き出して蒸散してくれる。これを「葉枯らし」という。国産材で家を造る工務店などは、この葉枯らし材を銘木のように扱い、高額を取るが、自分で伐採・葉枯らしすればタダである。
筏で流して水に浮かせたまま放置しておくと、木材のヤニやアクも抜け、さらに芯の部分の水分も抜けやすくなる。昔はそんな方法も多かった。
今ではボイラーで焚く人工乾燥が主流なので、伐り旬は無視。一年中伐り出し、強制熱乾燥で製品にする。しかし、それはパサパサの死んだ木なのだ。材の色と、香りの無さがそれを物語っている。ヒノキも同様である。
実は、人工林問題が人の琴線に触れない、本当の深部はここにあるのではないか? と、私は最近、思っている。スギ・ヒノキの本当の美しさ、素晴らしさを知らなければ、頭や観念だけで森の問題を語ることになる。アタマだけの運動家たちを、私はこれまで、うんざりするほど見てきたのだった。
天然乾燥材を床にすると、雑巾がけしているうち別の色つやが出てくる。塗装はいらない。オイルフィニッシュもいらないのだ。囲炉裏の灰と燻しでコーティング、それにマメな雑巾がけ。これが最高の塗装効果なのだ。
そんなところも、忍木菟屋ではぜひ味わってもらいたいのである。
もう一本割る。お隣のkさん来訪。私の超原始的な板づくり作業を、感心しつつ、呆れつつ、見ていったもよう。
鉋をかけない表情も面白いかも。汗だくでやっと4枚できた。
残骸はすべて燃料になりますのでご心配なく。
朝食兼昼食は新豆白インゲンのスープ。同じ種でもここ桐生の畑では小さくなってしまった(旧アトリエでは球形でひとまわり大きかった)※。
でも美味しい。市販の乾燥豆ではこの味は出ない。天日乾燥だからか? あ、スギと同じだ。
※ 後にこの苗は友人から貰ったモロッコインゲンであることが判明した。