いよいよ「神流マウンテンラン&ウォーク」の朝。心配された天気は、雨上がりの快晴を約束するかのような、澄み切った星空が輝いている。夜明けとともに出発。
私たちは7時のスタートを取材した後、持倉集落に上がって、ソバ作りの手伝いや、中継点のサポート、写真撮影などをしようと思っている。
開会式は鯉のぼり正面の広場で。
宮前町長の挨拶の後、今大会をプロデュースした鏑木さんが大会への思いを熱く語る。
スタートは対岸に渡ってゲートから。ここから下流に走ってまた橋を渡り・・・
町内のメイン通りを声援を受けながら、山道に入っていく。
その走りを確認した後、私たちは車を持倉に走らせた。すでにソバ打ちが始まっていた。そば粉は100%持倉製。小野式製麺機で伸ばしながら切った側から湯で上げ、水で締める。
yuiさんも区長さん宅の台所でお手伝い。左下に時計ストーブが見えている。
それをお椀に小分けにしてセッティング。他にスポーツドリンク、水、チョコレート、バナナ、そして持倉産の花豆の煮豆。
そしてランナーの到着を待つ。
来た! ものすごい速いペースでトップランナーがやって来る。
余裕の表情で水分補給だけでまた疾走。
やや遅れて2番手。
やがて続々と到着し、ソバに手を出してくれる人が現れ始める。
道脇で旗を降り声援を贈る持倉のおばあちゃんたち。
ソバと花豆が売れ始める。
中には「美味しい!」と叫びつつおかわりする人も。薬味はネギとユズ。途中でネギが足りなくなり、畑に取りに走る一幕もありました。
女性ランナーもかなり多く、地元のおばあちゃんと会話を楽しんだりしていた。
「美味しいですか?」「おかわりしてくださいね」と声をかける。
1時半を回って、私たちは再び下の町のゴール・閉会式広場へ。ゴールゲートはスギの葉を使った手作り。
表彰式。ロングコースの1位はあのまま走り切った彼のようだ。40kmのマウンテントレイルを4時間を切る走りというすばらしいタイムだ。
閉会式の間にもゴールする人が。鏑木さんも心から嬉しそうだ。
サイン入りの長椅子が2個、じゃんけん勝ちの人に贈られた。
こうして初めての大会が無事終わった。私たちはここで思わぬ友人にばったり出会った。彼ら4人(女性を含む)は大会参加者として、四国の香川から相乗りで車でやってきた。友人はロングコースを無事完走した。今日中に四国まで戻り、明日はふつうに出勤するという。「遠く四国からの参加者」というのは、彼らだったのだ!
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鏑木さんは群馬県庁職員を辞して今年から走りのプロになった人だ。彼がこの山々と人と風土を、心から敬愛していることが、今回の成功の最大の鍵だったのではないだろうか。企画を押し進めた人たちはいくつもの壁を乗り越え、町の人たちは真摯に、それに応えた。
持倉集落の人たちは、里の人たちの何倍も苦労を重ねた人たちだ。しかし山岳を走るということは、それも多くは都会からやってきた人たちが山を走るということは、その彼らにさえ畏敬の念と感動を与えたようだった。
私たちとしては、このイベントの間にも聞き取りの取材を重ねていたが、集落の人たちのたくさんの表情、たくさんの会話に出会えたことが大きな収穫だった。やはり、祭りはいいものである。
来年も間違いなく、多くの人がやってくるだろう。私もまた、その日は持倉に居るのではなかろうか。
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