世界遺産になった石見銀山。いったい何がそこを世界遺産にさせたのか? それが知りたかった。
まず銀の産出が全世界の1/3量というスケール。そして近世でほぼ閉山したので、近代技術の波を受けておらず、昔の佇まいがそのまま残っていること。さらに環境に配慮して、山林を持続させながら山を守り続けたこと。この最後の「環境配慮」が、けっこう効いているらしい。
車でその山と銀山の坑道の入り口などを眺め、駐車場(無料)に止めて大森の町並みを歩く。そして世界遺産センターで銀山関係の資料を見て回る。
面白かったのは銀の精錬方法に「灰」が使われていたことだ。最初、鉛との合金をつくり、それを溶かして灰に転がすと、鉛は灰に吸着して銀の純度が高まる。しかし
「鉛には発がん性もあると考えられているので、坑道内の出水・高温多湿や鉱滓・煤塵などの劣悪な環境も相まって、当時の鉱夫は短命であったといわれる。大森地内に各宗派の寺院が多数あることや、古文書の研究からその平均寿命はおよそ30歳程度であり、家族構成はその多くが独身もしくは夫婦のみ、と伝えられている」(Wiki)
というような記述は、世界遺産センターの展示では、しっかりはしょられている(笑/足尾銅山と同じだ)。
大森の町はタイムスリップしたような佇まい。石州瓦のレンガ色、黄色い土壁、錆びた杉板。材が細く華奢な住宅が多いのは、大火で焼けた後、急ごしらえで造られたからという。
石塔や石仏が町のそこかしこに見られ、それがまた独特の雰囲気をもたらしている。
町並みの中央に気になるショップがある。開店前の時間だったが建物内部や中庭などを見せてもらう。「群言堂」といい、独自のブランド洋服や、生活雑貨が並べてある。カフェもあってちょっと普通じゃない完成度と規模だ。気になったのでこの店づくりのストーリーが書かれた本『石見銀山四季暮らしものづくり回転寿し』(いとなみのえ/織研新聞社2006)を購入。
西へ海岸線を走って浜田市で昼食。「再会」というへんてこな名前の和食レストランで。刺身定食。ブリ刺しが絶品。天然ものだろう。
山口へ。途中、益田町「雪舟の郷記念館」へ。ここでは雪舟の「花鳥図屏風」のリアルなレプリカが眼前に見られる。私が「日本の絵の中で最も好きな1点は?」と訊かれたら、躊躇せずにこれだ。しかし、この絵には雪舟のサインがない(だから「伝雪舟筆」とされている)。何故? あまりに完成度の高い絵ゆえ、サインを入れる余地がなくなったのだ、きっと。
下関で回転寿司。さすがに旨い! が、接客悪すぎ。トンネルで九州へ
宗像の道の駅泊。