鯛茶漬け


前夜、町内組合の顔合わせ新年会が、近所の居酒屋で開かれた。この会に出るのは各戸の年配者たちが多いので、梅田の昔の話、とくに自然が豊かだった頃の思い出話が聴けるのが楽しみなのである。とくに桐生ダムができる前の桐生川の豊かさはすばらしかったそうで、ウナギ、ハヤ、カジカ、はもとより支流に入ればサワガニもずいぶんいたそうな。

長老が多いので料理が余る。そこで散会後はパック詰めでお持ち帰りということになるのだが、すでに正月明けでごちそうを食べ飽きたのか、それでも余っていたので、カニやら刺身やらをごっそり頂くことにする。なにしろアーティスト2人組は万年金欠ですからねぇ(笑)。

さて、帰宅後、薪ストーブの天板の上で焼きガニを楽しみつつ2次会。さらに翌日の茶漬け用に、わさび醤油に刺身をどばっと漬けておく。

囲炉裏で白米を炊いておいて。さて、やるか・・・。

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タイ、ハマチ、マグロ、イカと豪快な茶漬けだ。

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自家製の金ゴマ、自家製の山椒擂り粉木。

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擂ったら醤油漬けの刺身を投入して、オン・ザ・ライス。

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もみ海苔を振りかけて熱々の緑茶を。お上品にやるなら昆布と鰹節の一番出汁、それに三つ葉、そして本ワサビが欲しいが。とくに擂りたての本ワサは茶漬けに絶品である。が、ここは旧アトリエではないのでさっと掘ってくるわけにはゆかぬ。

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うまし・・・。食べきれなかった刺身は翌日醤油煮もいいが、冬なら茶漬けだな。

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急須も茶碗も笠間焼。実家が水戸なので笠間はよく立ち寄る。急須は作家ものだがそれほど高い値段ではなかった。

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新建材のぴかぴかの家では、なぜか渋い器は合わない。浮いてしまうのだ。本物の着物姿というのも、合わないのではないだろうか。それから、生花も合わない。

伝統的な日本家屋には、本物の焼き物がよく似合う。杉の床に野花の一輪刺しを置き、囲炉裏端で萩焼などで茶をすすっていると、そのモノと空間すべてがギャラリーだ。偽物の空間にいつも居ると、本物が解らなくなってくる。本物はそれだけで美と存在感があり、お互いに響き合う。そして土に還るので環境を汚さない。

ところで、近所の沢にもワサビ田があり、こぼれワサビが昔は採れたそうだが、いまはイノシシが転げ回るのでダメだそうだ。


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