林道取材、西へ5.(四万十町現地取材2)


四国霊場 第37「岩本寺」の宿坊は田辺さんのお姉さんが仕切っておられるのであった。そのお姉さんと、朝食後に喫茶室でいろいろと話しをした。昨日の膳もお姉さんの計らいのようだった。僕は広間に立てかけてあった絵のことを訊いた。それはかなり大きな日本画で、青地に金で銀河のようなのたくった曲線がアクションペインティングのように置かれ、そこにグリッドを切って、部分に絵はがきのような風景画が描かれている。よく見るとそれは同じ地に描かれたもので、沈下橋の風景だった。ということは、この銀河は四万十川の暗喩なのだ。
“林道取材、西へ5.(四万十町現地取材2)” の続きを読む


林道取材、西へ3.(別子フォレスターハウス)


高知の林道取材に向かう前にどうしても立ち寄りたい場所があった。愛媛県新居浜市別子にある住友林業の社有林である。昨年の旅では時間がなくて見れなかったヒノキの天然林や長伐期施業の見本林を見ておきたい。でも行く前に食べておきたい讃岐うどん。お目当ての地元密着型老舗は休み。そこでカーナビでセルフの店をみつけて、イカ天付きぶっかけと普通のきつね。これでしめて520円♪

middle_1152105787

middle_1152105849

“林道取材、西へ3.(別子フォレスターハウス)” の続きを読む


林道取材、西へ2.(淡路島から四国へ)


深夜に土砂降りとなり、テントがずぶ濡れになってしまう。夜が明ける前にテントを撤収して移動することにする。淡路島を下道でのんびり移動し鳴門海峡を橋で渡って四国に入る。深夜~明け方の幹線道路はどこでもトラックが多い。このようなトラッカーによって日本の生活と経済が支えられていることを実感するのである。

鳴門で写真や日記を整理する。徳島から香川へ向かう海岸の街道沿いに有名な活魚料理のメシ屋「B」。そこが開くまで山越えをして神社や寺を観たりする。ここには四国遍路88カ所の一番札所「霊山寺」がある。まだ早朝だというのここにもいるぞ「平成のジジババ様」。この寺の駐車場にはお遍路グッズを売るショップがあったりして興味深く観察したりする。う~む、しかし今の時代に「思い」のあるお遍路さんというのがどれほどいるのかなぁ。ヒマで小金のあるご老人には、四国遍路は最高の遊びなのかもしれず、今後「一大産業になるかもしれぬ」・・・などと考えてしまった。

middle_1152104983

“林道取材、西へ2.(淡路島から四国へ)” の続きを読む


林道取材、西へ2.(木曽ヒノキ林を見る)


明け方3時過ぎにテントを撤収し、中山道の奈良井宿に進路をとる。中山道は江戸と京都を結ぶ主要路だった。群馬の中山道はすべてトレースしておいたので興味が浮かぶ。奈良井は中でも宿場の古民家が最も多く保存されている観光地のひとつ。といっても明け方に到着してしまい、お店なんぞはすべて閉まっていてまだ誰も歩いていない。コペンでゆっくり街道を巡回して建築を観察したり、井戸のようにつくってある湧水を飲んだり、写真を撮ったりした。入り口に戻ってみるとなんと車両侵入禁止の標識が・・・。

middle_1151452873

“林道取材、西へ2.(木曽ヒノキ林を見る)” の続きを読む


林道取材、西へ1.(諏訪神社)


高知県四万十町(旧大正町、H18年合併改変)へ林道取材へ出発。主役の田辺さんとは3年ぶりの再会となる。鋸谷さんと同じく、この田辺さんの林道づくりはなんとしても世に大きく登場させるべきであり、連載後は単行本化を目指すわけだが、内容が「林道」だけに読者が限られるという懸念もある。しかし環境親和型の林道は、木の売り買いや森の管理しやすさだけの問題ではない。

1)林道づくりを考えることで、西洋由来の土木技術(自然をねじ伏せ、コンクリートで固めてしまう)を根本から考え直すきっかけにもなる。それは日本古来の土木技術を見直すことにもつながる。そして日本の山の特質が見えてくる。

2)山林で使う道具やエンジン機器、軽自動車や林業作業機械まで含め、これらの改良の余地がたくさん残されている、ということが見えてくる。それを解き明かすことにも大きな意義がある。

3)高密度作業道をつくることで頻繁に山を行き来するとき、環境親和型でありながら鋸谷式とはやや異なる新しい林業のセオリー(技術・管理手法)が生まれるのではないだろうか。鋸谷式間伐は、どちらかと言えば林道がなくてもできる荒廃林を最短距離でローコストで最良の山に持って行く手法であった。一度間伐すれば10年は放置できる、という伐り方だ。しかし、作業道があるなら、同じ環境親和型林業とはいえ、管理の仕方は当然変わってもよいのである。

林道というと、環境保護論者には環境破壊の代名詞のように聞こえるものだが、この「森を良くする田辺林道」をするとき、目からウロコが落ちる人がたくさん現れるだろう。

“林道取材、西へ1.(諏訪神社)” の続きを読む