ナルちゃん/Y先生の山村物語


このH集落界隈はオミナエシが群落をつくっている。それは集落のOさんが植えたもので、手入れをずっと一人でされていたのだが、そのOさんが病に倒れてH集落を離れてしまったのは昨年の春。オミナエシは草刈りなどの手入れをしないと他の草に埋もれてしまい、おそらく衰退していく。Y先生と「なんとかしたいですね」と僕らは相談していたのだが、今日の午前中にその作業をやることにした。朝8時過ぎから昼までみっちり。全部はやりきれなかったが、Oさんのオミナエシ分布の全体像がだいたいわかった。しかし、これを一人でこなしていたんだから、まったくOさんは凄い人であった。

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オミナエシとコペン


朝から畑作業に入る。周囲の草刈り、水路周りの草刈り、ニンジンや枝豆の草取り、白インゲンの支柱直しなど、やることはたくさんある。そして敷地全体を回ってじっくりと観察する。ここに来てもうすぐ1年になるが、この1年は敷地の四季をじっくり観察する時間だと思っていた。この場所でどんな花が咲くのか、どんな昆虫たちがやってくるのか、どんな山菜と出会えるのか、周囲の人たちはどんな農時歴のもとに動いているのか、雨や雪と沢水の流れは周年どう変わるのか。その匂いや音に耳をそばだて、この敷地全体の鼓動を受け取らねば、と思った。春になって僕は煙草を止めてしまったが、それは匂いや味覚を鋭敏に感じたかったからだ。
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