この日、十石峠で列状間伐の山を見た。なんだかみっともない姿だよね。列状間伐というのは、とにかく緊急に間伐が必用だからということで、選木の手間をかけず列に縞状に伐っていくもの。巻き枯らし間伐について、よく外観が悪いと言われるけれども、巻き枯らしは4~5年もすれば枯れ跡は目立たなくなり、自然にとけ込んでしまう。列状はかなり長い間、シマシマの外観が残ってしまう。

現在の荒廃林に選木をせず、列状に伐るということは、いい木も悪い木も混ぜて伐るということで、もしその木々を収穫するならムダが多いし、すべて伐り置きするなら、いい木がもったいないということになる。山を、木を愛していないという感が否めないのである。

東町、吾妻町と、なかなか風光明媚ないいところである。役所で地図やパンフレットを入手。驚いたことに、ダム建設側が周辺のハイキングガイドを作っている。役所の担当者のしゃべりの雰囲気ではすでに「ダム建設はゴーサインが出ていている。もう白紙撤回されることはない」を確信している風に受け止められる。その八ツ場ダムのダムサイトは「吾妻渓谷」の上部につくられる。ハイキングガイドを参考に白糸の滝まで歩いてみた。上毛カルタに「耶馬渓しのぐ吾妻渓」と詠まれたこの渓谷も、ダムができればズタズタになるだろう(白糸の滝は付近は水没する)。


