火鉢でパンを焼くとき


以前、河原でキャンプしたとき、東京から来た客人が「焚き火で何でもできるんですねぇ」と感心していた。それを、私は家の中でもやっているわけだ。

火鉢を見ると思い出すのは母方の祖父の家で育てられたときの記憶である。カマドや火鉢を使っていた最後の時代に私は遭遇することができた。

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祖父は食パンを大事そうに火鉢でこんがり焼き、バターの銀紙をはいで焼き目の余熱で上手に塗るのだった。また、近くの高校の庭にあるイチョウの銀杏を拾ってきては、火鉢で焼いて食べていた。

叔母たちはそんなことが「貧乏臭くて嫌だった」と述懐するのだが、私はそんなことが大好きな少年だった。

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寝かせ燃しと灰飛びの関係


囲炉裏暖炉で太薪を寝かして燃やす実験をしてみた。今夜は皮付きのかなり太い薪である。先に枝巻を燃やし、燠ができてから皮のほうを下に、ロストルの上に横たえてみる。火吹き竹を使わずともすぐ火がついた。

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やはり皮の部分はよく燃え上がる。火勢があがっているときは皮を上にして薪を置くとよいだろう。

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大きい薪の「暖炉燃し」


囲炉裏暖炉のロストル(火棚)は鉄製を予定していたのだが、新築見学会のときミニレンガで代用していたら、それが調子良く意外に使いやすいので現在もこの形のまま使っている。固定はせず灰に半分くらい埋めた形になっている。

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スギ床と移動火鉢


新居に引っ越して初めての冬を迎えているが、無垢のスギ材は温かいということをしみじみ味わっている。スギは柔らかく傷つきやすい、また汚れやすいので床材には敬遠する建築家が多い。

ナラやサクラ、タモなどの広葉樹が王道であり、それを付き板でコストダウンを計る(つまり合板である)。あるいは無垢でも塗装して表面を覆ってしまので床は冷たい。現代住宅は西洋の模倣がベースにある。あちらは靴を履いたまま部屋を歩く文化である。

2階の床は30mmの無垢材だからその性能は言わずもがななのだが、ちょっと驚いたのは1階のフローリングの温かさである。

最初は1・2階全部屋に低温乾燥スギ(愛工房)30mmを張りたかったが、予算が合わずそれは2階の囲炉裏暖炉があるワンフロアーだけ。あとは高温乾燥の30mm、そして1階は15mmの厚みで我慢した。

その場合、一般には下地に合板を用い、その上に15mmを張るのだが、この家では合板を避け12mmのスギ野地板を使ったのである。

これが温かいのだ。

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