囲炉裏と柚子


相方が柚子をどっさり摘んできた。皮の干し物や、ジャムをつくったりするというので、いろいろさばいていた。僕は蔵書のなかで柚子の記述がある中共文庫『料理歳時記』(辰巳浜子著)を思い出し、柚子の項を見た。そしたら、本当の柚子味噌というのは、柚子をまるのまま酒と味醂で2~3日もかけて、火鉢のとろ火で煮てつくるものだと知った。さっそくそのつくり方でやってみる。結果はまた後で。

囲炉裏を使い始めてそろそろ一ヶ月。もう面白くてやめられない。どうしてこんなすばらしいシステムを日本人はあっさり捨ててしまったのだろうか? 驚くのは薪の消費量が減ったこと。一日じゅう燃やしていても薪の減りは少ない。薪ストーブは薪を放り込むかたちで薪全体が燃えていく。ところが囲炉裏は、薪を小口(先端/片側)からじわじわ燃すことで、燃え尽きるスピードが極端に遅くなる。そして、細い枝などが役に立つこともすばらしい。

当然、炎は薪ストーブに比べて小さい。しかし裸火で、低い位置で燃えているために全体に暖かい。この気持ちのいい暖かさは、石油ストーブの不快な暖かさの対極にあるものだ。石油はクサイが、囲炉裏は芳しい。煙かろうが灰まみれになろうが、僕らはもう囲炉裏のすばらしい効果と雰囲気、その経済性にぞっこんなのだ。

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マダケ入手、バラ肉の煮込み


実にいろいろあった一日。朝から囲炉裏の火で豚バラ肉と昆布、ジャガイモ、ダイコンの鍋をコトコトと煮続ける。昼頃、Y先生とかねてから約束しておいた竹伐りと、柚子の木を見に行く。アトリエ敷地には竹と柚子の木がない。それを話すと「ウチの竹を伐ればいいよ。柚子の木もあげるから」とY先生。

竹は今がちょうど「伐り旬」だ。他の季節に伐ると虫食いにやられる。加工モノに使うにはモウソウチクよりマダケがいい。しかし伐る本数や位置について、Y先生の指示は厳格だ。山暮らしにおける「所有」の概念と手入れの厳しい感覚を教わった。

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