先日の夕刻、蜂の「継ぎ箱外し」の帰り、農道を走っていると老農婦が小さなイチジクの樹に水やりしている姿を目撃した。水といっても水道のホースで散水しているわけじゃなく、据え置きの大きな漬け物樽に溜めた水をヒシャクで与えているのだ。
この道は勝賀山の中腹をほぼ等高線に添って横切る農道で、道の上下の斜面は一面果樹園が広がっている。夏の散水は必須らしく、各農園には様々な水貯めを見ることができる。
が、漬け物樽とヒシャクで水やりするのは初めて見た。散水ホースが届かない場所はこのような水槽で雨水を貯め、フタをして保存し、最も土の乾く梅雨明け後の夕刻に水を与えるのだが、私は何か恐ろしいものを見たような、胸に刺さるような衝撃を受けた。