朝8:00、とある喫茶店。壁にはマリー・ローランサン。京都や大阪のキタではありませんぞ。
モーニングのメニューは4種。私は(4)を頼んでみた。隣のオバチャンが食べていたおにぎりが美味しそうだったので。
これにコーヒーがつく。
食後にiPhoneでツイッターしてると緑茶が運ばれた。しかも砥部焼きの茶碗。
ここは四万十市の中村。九州も関東と同じように個人営業の喫茶店は少ないけれど、四国に入ると急に喫茶店が増える。高知のど田舎に喫茶店のクルクル電灯を見るとき驚きと感動を禁じ得ない。
土砂降りの海岸線を走りながら空海のことを思う。ど田舎な街道に喫茶店やたこ焼き屋が健在なのは、お遍路さんの利用率もあるのだろう。三十七番札所の岩本寺から、足摺岬にある三十八番札所の金剛福寺まで、歩き遍路にとってとてつもなく長い。今日はカッパを着たお遍路さんを20人くらい見たかな。
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四万十式作業道の発祥の地、四万十町(旧・窪川街+大正町+十和村)は今年、「海洋堂ホビー館四万十」なるものをオープンした。これがなんとフィギアやコスプレなど、オタク系のブツを展示するものだという。かなり奥地にある廃校跡を改装したものだった。気になっていたので行ってみることにした。
ぐわ、すごいな。
私の大嫌いなチェーンソーアートもいっぱい飾ってあった。海洋堂というのはフィギアのメーカーらしい。
その社長曰く・・・
「この出来事のすごいところは、日本全国のどこよりも早く四万十町つまり公の組織が海洋堂=オタク文化の施設を作ることであります」
「その一番目の記念すべきミュージアムがオタクの聖地秋葉原ではなく、日本でおそらく一番不便な四国、高知の四万十町に出来ることは、常日頃とても便利な都会に生活している方々にとって、わざわざ不便な場所に足をのばして見に行くという『非日常を感じる』イベントとなります」
「そのお遍路さんのような苦労をして到着する『海洋堂ホビー館四万十』は、これまで海洋堂が歩んできた1960年代からの歴史と実績を体感できるフィギュアの魅力がぎっちりと詰まったまさにホビーの聖地になることは間違いありません」
(土石流に流れないといいけどね)。
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昼飯は窪川で「豚太郎」名物”味噌カツラーメン”を食べてみた。てんぷらの衣の汁に濡れたモロモロは味わい深いものだが、汁に浮かぶトンカツの衣は情けなくふやけていき、カリカリのうちに食べたい焦りが募ってくる。もう一回は食べないと思うな(笑)。
四万十式作業道を産んだ田邊さんは役場を辞め関東に行ってしまった。田邊さんもきっと、この豚太郎で食べたんだろうな。
それにしても凄い土砂降りの雨が続く。
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高知着。「沢田マンション」に行ってみた。ヤマダ電気が近所にあり、駐車場を借りて写真。
『沢田マンション物語』が面白かったのでかなり期待して行ったのだが・・・。
ちょっと好みではなかった。沢マンには宿泊できるシステムもあるのだが結局はりまや橋ちかくのビジネスホテル泊。
ネットで引っ掛かってきたクジラがある居酒屋に行ってみる。いや、じつは以前、大阪の老舗おでん屋で不味くて高いクジラネタを食わされ激怒したことがあったんだよね(開高健も常連だったトコ)
んで私、恥ずかしながらクジラというものの本当の美味さをまだ知らない。
その居酒屋は皮とうねす(腹の脂のところ)とさえずり(舌)のセットを出すらしいが、今日はさえずりがなく、皮とうねすだけという。1,200円。頼んでみた。
これが、なんともすばらしい味だった。そのアブラの香ばしく、繊細精妙なこと。皮とうねす、二つの食感のちがいも楽しい。酢みそやレモンで食べるとくどさが消え、いくらでも食べられる。濃いのに、飽きないのだ。この居酒屋は調査捕鯨の生ものを入手するルートを持っているという。
ビールを冷酒に変える。地酒の「瀧嵐」。クジラのアブラを酒で洗い、また箸をのばし・・・。
yuiさんがご飯で〆たいというので「ツガニの雑炊」を頼む。「ツガニってあの淡水カニのことだよね?」と一応お店のおねえさんに確認。だって、お店でなかなか食えないですよ。
ツガニとは、拳(こぶし)大ほどの淡水カニ「モクズガニ」のことである。海と川を行き来するこのカニは、秋から冬にかけて産卵のために川を下るとき捕獲される。私も味見してみた。ぐわー、超美味であった。
ミキサーで殻ごと粉砕してザルで濾して、熱を加えると身とワタがふわふわに固まってくる。
yuiさんもご満悦。