日置川の源流部の大崩壊地を見に行く。グーグルの航空写真で見てもその崩壊地は広大だが、一帯はすべて人工林地に見える。それを確かめたい。
途中も線香林が続く。ここは石垣に守られた畑だったところ、離村するに当たって植林していったという感じである。テープを巻いてあるのでこれから間伐を入れるのかもしれない。
このような小規模な崩壊地はいたるところにある。崩れてからひと夏を経過しているのだが緑の回復は遅い。
すでに工事が終わって緑化が施された工事跡。
様々な工事のバリエーションがある。最奥を網状のコンクリートで固めて下に小さな堰堤を据えるタイプ。
やや大きな崩壊跡。コンクリートを塗りたくられ、これからこの光景とつき合って行かねばならないのは悲しい。
蛇籠(じゃかご)を据え直している。
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熊野(いや)地区の大崩壊地は、冷房付きの工事事務所ができていた。本来なら許可を貰いヘルメットで入らねばならないところだが、今日は日曜で関係者不在なので、自己責任で入らせてもらうことにする。
巨石が運ばれていて、度肝を抜かれる。
礫を含んだ泥岩のようだ、穴も空いていて独特の石。
壊された民家。
つぶれた軽トラ。
スギが多いようだった。ヒノキも混植されている。
やはり人工林だった。
延々と続く。
重機で寄せられた丸太。
けっこう太い。
日置川源流部というのにシュールな光景だ。堰堤ができている。水流は実に細々としているが、豪雨になると一気に膨れ上がるのだろう。
崩れ始めを望遠で撮ってみる。やはり崩れ始めも人工林だった。
上部はヒノキ林だ。
もう一度、下流側を撮影。土石流によってなぎ倒された木々が、まだ片付けられずに残っている。
幹下は皮が剥け、土石流による擦痕が見える。
▼グーグルマップの航空写真より。尾根の南面ピークから始まった崩壊が対岸に追突し、当時二つの土砂ダムができた。
▼国土地理院2万5千分の1地図より。769mのピークの南面はすべて人工林。対岸の斜面もほとんどが人工林である。
▼2013年05月15日『紀伊民報』/「深層崩壊現場で復旧工事進む 紀伊半島大水害」より。
熊野の深層崩壊は高さ約650メートル、幅約450メートル、深さ約50メートルにわたった。崩れた土砂や岩は約410万立方メートルあり、熊野川をせき止め、民家など8棟をのみ込み、3人が死亡した。熊野地区には19世帯30人が住んでいたが、いまは11世帯17人に減っている。
それにしても・・・グーグルアースの航空写真では崩壊地の西側に明瞭なリニアメントが確認できる。崩壊地の復旧工事はいいとして、今後崩れる可能性のある斜面の対策はどう考えられているのだろうか?
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下流域は案外被害が少ない(感じられない)のが不思議だ。皆伐が進んでいた。
人工林の込み具合、線香林状態がよく解る。
もはや釣り竿で測る必要もない。どこもかしこも、あの滝尻と同じ光景なのである。