熊野の木材をどうする?


熊野の人工林の、構造材としては柱以外に使いづらい間伐遅れの山の小中径木を、どう商品にしたらよいか? アイデアがないわけじゃない。いま健康な国産の無垢材を求めている人が、実はたくさんいるわけで、床材、内装材、漆喰壁の下地などに、無垢の木を使う需要はかなり期待できる。

その証拠に、スギの足場板(建築の仮設工事に使う捨て板)がホームセンターに出回り、それを内装材として扱う業者が出てきた。安藤忠雄が「光の教会」で足場板を床材として使ったのは有名だが、足場板の分厚くてラフな感じが、商店やオフィスの床材にもてはやされ始めているのである。


しかし、小口に波金具をぶち込まれたスギ板は気の毒である。また、エージング(経年変化の汚れ)がかっこいいというのもどこかちがう。スギ板に塗装をほどこしてお洒落にカフェ空間を演出するというもの好きになれない。それは次世代に渡せない、反持続的な建築と内装なのである。なにしろ化学素材で塗装をすれば安易に燃やせないのである。木材は「囲炉裏で燃やせる」素材回しでありたい。

スギ・ヒノキという材の本当の素晴らしさを、ほとんどの人が知らない。切り旬を守ること。天然乾燥(もしくは「愛工房」などの低温人工乾燥)。表面は手鉋もしくは超カンナ仕上げ。これを守ることで、その材を使えばもの凄くいい室内環境を作ることができる。

現在、間伐しても皆伐してもせいぜい末口の直径は20~30cm止まり。柱材はどこでもダブついて余りまくっているだろう。私が勧めたいのは半割りにして4~5cm厚の板を2枚採り、残りの削り片を燃料にして、完璧にムダなく使うことである。


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