翌日は丸亀港から本島へ行こうということになった。私たちは約束の出船時間ぎりぎりに港に着いたのだが、ちょうど瀬戸内国際芸術祭の秋期最終土曜日であり、港には人がごった返しており、駐車場はだいぶ離れたところでその船に間にあいそうになく、N氏に先に渡ってもらうことにした。
次の船までの待ち時間、港で釣りをしているオジサンを見学。なんと、かなり大きなタコを釣り上げていた。
ここの港はかなり水深があるそうで(8mくらい)いまの季節はマダコがけっこう釣れるそう。見ている間にも一匹釣った! 専用のツノ(タコ用のルアー)に重りをつけて底をこまかくしゃくっていくようだ。しかし、釣り人はオジサン一人だ。四国は釣り人天国だなぁ。
船が離れる。デッキから丸亀城を見る。昔の金比羅参りはここ丸亀港が着港・起点になっていたというから、こんな景色を見ながら近づいていったんだな。
本島もマツ枯れが観察できる。
着岸。乗客はほとんどアート見学の人。
島内は平地があり水田も見られるが、やはり過疎化は避けられないのだろう。耕作放棄地にセイタカアワダチソウが繁茂する場所も。
山肌にはウバメガシ、アカマツ、ハゼ。
瀬戸内の島嶼の特徴として海辺の水際からウバメガシが生えている。
海岸に落ちるウバメガシのどんぐり。花崗岩が風化したマサ砂である。
トベラが実をつけていた。ウバメガシと同じくゴワゴワとした厚みのある葉で乾燥に耐える強い木だ。
島の北側にある笠島重要伝統的建造物群保存地区を歩く。見事な焼き杉の壁の民家。屋根は入母屋で古式の本瓦。
焼き杉は潮風や虫食いから板壁を守る工夫で、瀬戸内地方全般には特に多いが、昔のものはこのように焼きが深い。
石工さんもいい仕事してます。この精度、島の集落内部とは思えない。
通り庭の上部に開閉式の煙抜きを見つける。ロープで引くのではなく、戸に棒が打ち付けてあって、壁の横部材に掛けて止めるようになっている。この集落でN氏にばったり会う。やはり島は狭い(笑)。
島に坂道はつきものだが、おかげで景色がいい。
いくつかアートも見てまわった。
帰りの船では島の人たちが太鼓と笛でお見送りしてくれた。
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瀬戸内国際芸術祭は通称「セトゲー」。瀬戸内海の島々を舞台に3年に一度開催される現代アートの祭典で今回は2回目。
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