熊野には深い森と渓谷だけでなく、優れたホンモノの温泉がたくさんある。熊野古道を苦労して歩いた、ときの貴族たちも、これらの温泉が大きな目的のひとつだったのではないだろうか。
湯ノ口温泉は山道の奥にぽつんと建つ。たどり着くのが大変だけれどもそれだけの価値はある。本宮周辺の観光客の喧噪もなく、十津川温泉の地元民に気兼ねするような気遣いも無し。湯質・湯量ともすばらしい。もちろん加温なしの掛け流し♬
*
その温泉から直線距離で5kmほど北に木造の旅館を改装した食堂・喫茶が昨年の6月にオープンした。昨年、雑誌ブルータスでも紹介された、瀞峡を見下ろす崖地に建つ木造の「瀞ホテル」。
隔絶したこの場所から、時おり行き交うジェット船を眺めるのはシュールな光景だ。