ヴェネツィアにおけるスカルパのもう1つの見どころ「クリエーニ・スタンパリーア財団」。ここは16世紀に建てられた貴族の邸宅を改修し、アートを収蔵する美術館として一般公開されている(スカルパの他にもV.パストール、マリオ・ボッタ、M.デルッキといった一流建築家たちがリノベーションに関わっているそうだ)。ちょっとわかりにくい場所にあるのだが、iPhoneを片手に、Googleマップを見ながら車の危険のないヴェネツィアをぶらぶらと歩くのはそれだけですばらしい体験だ。
橋の上からゴンドラを眺める。そして人とすれちがうのさえやっとの狭い路地を行く。
こんな小さな太鼓橋が次々出てくる。
いま、ちょうどヴェネツィア・ビエンナーレ(1895年から続けられている現代美術の国際美術展。2年に1度奇数年の開催される)が開催中ということもあり、何かしら展覧の催しのある場所には(常設の美術館なども含め)のぼり旗が下げられている。だから地味な建物の展覧会場でも解るようになっている。
ちょっとわかりにくい場所だったが、橋を渡るとチケット販売のオフィスがあり、そこは外からは窺い知れない広さと美しさを持つ空間だった。のっけから、この階段(‼️)、
運河から荷物を運び入れることができる鉄格子と、リズミカルな飛び石のような階段・・・以前、イサム・ノグチが草月会館の石庭作品で影響をうけているんじゃないか・・・なんてブログに書いたことがあったのがコレ(笑)。
内装と・・・中庭にも彼のデザインが。
「ブリオン家の墓地」にも見られる正方形タイルのパターン。
中庭に水路の海水を引き入れているらしい。が、ちょっと手入れが行き届いてなくて、その全容がはっきりしないのが残念。
スカルパらしいディテール。僕の足元は草履です(笑)。
他に、内部のギャラリーでは現代作家の絵画の展示もあり、
上階には元々の貴族の部屋も公開されて、
ヴェネツィア派の古典絵画が山ほど見れる。ジョヴァンニ・ベッリーニ 「キリストの神殿奉献」。
最後に明らかに格上と思われる絵の部屋があり、これは・・・「ティントレット?」と部屋の係員に聞くと、軽く頷いて英文ガイドを手渡してくれた。
一階には名作イスLC-2が置かれたカフェを併設したモダンなレストルームがある。ここだけ切り取ったらヴェネチュアとは思えない。ある意味、西洋(イタリア)のアートとしての底力を知らされるような空間体験だった。
オリヴェッティで購入したスカルパのヴェネツィア作品案内は奥付けを見ると昨年出版された本で、QRコードが付いていてGoogleマップで場所が出るようになっている。しかし、さすがにここまでマニアックな場所にのぼり旗はないだろう(笑)。ホテルまで戻る道すがら、その大学のファサードを見に行った。明らかにスカルパと解る白い大理石とキュービックなデザイン。
そろそろホテルに戻ろう。魂がざわめくような、サン・マルコ広場とスカルパの空間体験、さらにどこまで歩いても耽美的で強烈に彫刻空間が降り注いでくるヴェネツィア。
ヴェネツィアは臙脂(えんじ)色とモスグリーンの色彩を多く目にする。これはどちらもyuiさん(えんじ)と僕(みどり)の色だ。
宿に戻るとさすがにヘトヘト😅。シャワーを浴びて、夕食に出た。
もう残り少ない旅の時間だ、節約はやめてヴェネツィアを味わってみたい。昨日と同じ筋のもう一軒のテラス席に。ともあれたっぷりの野菜をとり、
またまた流しのアコーディオン弾きの歌を聴きながら、海鮮のリゾットを食べるのだった。
夜もまた美しい・・・。
明日は水上バスでサン・ジョルジョ・マッジョーレ島に渡る。