徳島阿讃山脈、棚田のある山上集落にて


「大地の再生」ワークショップのために徳島のGさん宅に下見に訪れた。

ここは徳島の吉野川沿いの山岳部にみられる典型的な山上集落だ。Gさん宅は吉野川左岸側の阿讃山脈側にあり、住所は美馬市脇町になる。国土地理院の地図で一帯を見てみると、標高4~500mの南向き斜面にかなりの数の山上集落が点在しているのが解る。

特徴的なのは、右岸側の剣山麓や祖谷地方の集落とちがって棚田が存在することである。右岸側は中央構造線の南帯で青石地帯(三波川変成帯)で「破砕帯」が露出しているため水保ちの良い田んぼが作れないのである。というわけで、Gさんの借りている敷地には、現在は使われていないけれども棚田が何枚も存在する。

以前、僕のアトリエで打ち合わせしたとき(こちら)、Gさんらは住まいに「炎の囲炉裏」を作って(しかも僕の本に影響されて❗️)実践していると聞いて興味津々だった。

キッチンの続きにある和室に作られたそれに火を入れてもらった。自在鉤や煙抜き。そして炉の内部や炉縁にも難があるので、こちらもワークショップ時に改良しようということになった。

ざっと敷地を回って、問題点をいくつかさぐり出しす。ここは現在の棚田跡。低い草刈りを続けて管理しているが、将来はもちろん田んぼを再生したいという。

竹林もすぐそばにあり、倒れかけた竹をいくつか伐採して三又囲炉裏を作ることにした。山暮らしで大切なのは、まず実用として火を使い、感動を見出すことである。それによって枯れ枝を採りに行くようになり、敷地を観察する目が生まれ整備される。そして剪定作業が喜びになる。

こんな時のためにロープはいつも用意してある。自在掛けは棚田に大きく育っていたクワの木の剪定枝のY字部分を使った。これまた9㎜のドリルをいつも積んであるのである(笑)。

炉は庭に転がっていた石やレンガで組む。火吹き竹も作って使い方をみせると子供さんがさっそく実践し始めるのだった。

ちなみに、火吹き竹の空気穴はスイスアーミーナイフのリーマー(穴あけ)の部分を使う。数あるすイスアーミーのうちこれは「クライマー」という14機能のマルチツールを持つ製品(yuiさんの形見です♬)。これ以上の機能は必要ないし、重量82gはウェストバッグに入れて常に持ち歩くのにストレスがないギリサイズ。もちろんナイフは材部の面取りなどにも活躍する。

ところでスイスアーミーの刃はステンレス綱なので和砥石では研ぐことができない(石のほうが研げてしまうw)。僕は学生時代に購入したBUCK社のオイルストーンを今も愛用している。これはアメリカ・アーカンサス州で採れる天然砥石で、現在では資源枯渇して大変高価になっているようだ。スイスアーミーを所有している人は多いけど研ぎまでやっている人は少ない(だからだんだんナイフを使わなくなるw)。

一段落したので庭に目を向けてみた。刈ってはいるけれど「大地の再生」的にみてちょっと雑然としているので・・

石のキワを短く刈り込み、個々の植木の風通しを開けてみる。これだけで俄然風の回りが良くなり、ヤブ化が鎮静してくる。

それにしても地質の違いでこうも土地利用度が変わるというのはちょっとした驚きと発見だった。徳島といえばいつも剣山麓にほうに目を向けてばかりいたが、棚田のある阿讃山脈南部に興味が湧きまくりである♬


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください