「囲炉裏づくり」見立て@大阪千早赤阪村


加古川のワークショップから始まった旅はまだ終わらない。今日は小野のHさんの古民家を出発して大阪の千早赤阪村のIさん宅へ。千早赤阪村は大阪府で唯一の村で人口が最も少ない。 楠木正成の出身地として知られ役行者が修行したという金剛山が近い。

カーナビでIさん宅に近づいていくと、ヘアピンカーブが連続するような道の途中に有料駐車場が次々と現れて驚く。どうやら金剛山への登山客が利用するものらしい。集落の場所は石垣に囲まれた谷で、Iさん宅はやや上部の斜面にあり、車が横付けできない。案内されて石段を上がっていくと広い庭の向こうに瀟洒な古民家が建っている。

対岸が遠望でき景色が良い。奥隣は民泊になっており、僕は今晩ここにお世話になる。噂に聞いていたがおくどさんがある。ここでご飯を炊いて出してくれるそうだ。

Iさんは友人とともに徳島のワークショップに来てくれ、そこで囲炉裏の話を聞いて自分の住まいにも囲炉裏ができないか? と僕に相談してきたのであった。つまり2日続けて「囲炉裏作り」の相談なのである(笑)。

展望のいい広々とした庭なのだが、なんだか雑然として元気がない。聞けばヤブ蚊が多くて夏場は庭に出るのが億劫なほどだという。そして、ここにも火を焚いた形跡がない。

さっそく提案して焚き火の場所を決めた。なぜか密閉型のコンポストが庭の中心部にあるので、それを解体して開放型の堆肥場を作って場所替えし、三又囲炉裏のベストスペースを創出する。庭の「ここしかない」という1点に囲炉裏の炎があるべきなのだ。

竹がなかったので、長い木の枝を使って三又を設置。

薪置き場から二又の枝も切り出すことができたので、ロープとドリルを車から持ち出して、さっそく自在カギも作る。吊り鍋はお隣のゲストハウスからお借りした。あっという間に囲炉裏が出現して、場の空気感がまったく変わり蚊もほとんど寄ってこなくなったことに一同驚いている。

囲炉裏を作りたいという家の中の場所は、コンクリートの叩きになっていた。小さな薪ストーブが設置してあるが、これではとても暖まらないだろう。上部の自在カギが設置できる梁の位置から囲炉裏の位置を決めてみた。

生活の囲炉裏は正方形ではなく長方形にして、自在カギはセンターをややずらして炭火スペースを作ると便利だ。

大工見習いの仲間とコンクリートをはつり始めてみたが、かなり硬くて諦めた。タガネだけでは到底無視だ。おそらくメッシュも入っているので、専用のカッターとブレーカーが必要。ワークショップ当日までにこの剥がしだけはやっておくように指示。

外に出て、もう少し手を加えて庭の改良をすることにした。何本かある庭木の下枝を剪定し、根周りの草は地際から刈る。これだけで風通しと見栄えがぐんと良くなる。

次いで、土と草に埋もれていた花壇の石を掘り起こし、設置しなおす。

石は立て気味にして隣の石にもたれるように組んでいく。ただ「置く」「立てる」のではなく、あくまでも隣の石との関係性を考えた石組みと意識する。

そうして花壇側は土を盛り気味にし、内側の庭側は地際から草を刈って石をくっきりと露わにする。この高低差が空気を動かす。もちろん埋もれていた石を掘り起こすことで地中の空気が大きく動き、有機ガスが放散して消えていく。これがまた、庭木たちに良い影響を与えるのだ。

最初、要領を教えて後は後日と思ったのだが、Iさんたちが熱心に始めたので、全部終わってしまった(笑)。風通しをさえぎるものが置いてあった入り口もそれを撤去して、石垣の草を取る。そして石垣ぎわの排水路を掘り起こして庭からの雨水の流れをスムーズにした。

「三又囲炉裏の設置」「閉鎖型コンポストの撤去」「石の掘り起こしと石組み」「剪定と風の草刈り」「水脈の掘り起こし」・・・人数がいればこれだけのことができる。短時間で実に爽やかな庭に変化して、後から訪れる友人たちも皆その変貌ぶりに驚いていた。

夕刻はお隣の民泊「Curi木」さんで食事会。日中は食堂もされているようだ。

自己紹介タイムを経て乾杯♬

本とポストカードの販売とサイン会♬

2次会はコアメンバーで作戦会議。中央がIさん。徳島にはアイヌの刺繍入りの服で来られたのが印象的だった。定期的に北海道に習いに行っているそう。

千早赤阪村はかつて高野豆腐づくりが郷土の伝統産業としてあったらしいが、現在は自然食品を販売している株式会社オルターの本拠地として名高い。そのせいかオーガニック系の意識の高い新住人が多いようである。


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