ひさしぶりにお遍路へ。86番札所「志度寺」。高松の繁華街から国道で鳴門方面に向かう途中、時間にして30分ほどで着く。
伝運慶の仁王像。一説に東大寺南大門の仁王像のための習作とか。そういわれてみれば・・・。だが、運慶にしては下手すぎる気が・・・。
88霊場のうち五重塔があるのはわずか4箇所。その一つがここにある。地元出身の実業家、竹野二郎氏が寄進。昭和の当時で総工費3億円とか。
この寺の歴史は古く、なんと開創推古600年代にさかのぼる。藤原鎌足の息子、藤原不比等が妻の墓を建立、能楽の作品「海士(あま)」の舞台としても語り継がれる。旧納経所に寺の縁起が描かれたイラストが面白い。HPにぜひ公開してほしい。
本堂。今日は特別に中に入れる。秘仏十一面観音像と両脇侍(不動明王・毘沙門天)を拝観する。地方の仏師が彫ったのだな、と思わせる素朴さが漂う。
大師堂。般若心経の読経もひさしぶりだ。
閻魔堂がある。今日は特別に中に入れる。意外にも内陣は金箔と極彩色に塗られた壇に大型の閻魔像が載っている。その冠には10体の観音像が載っているという変わったもの。
写真がブレたがこんな感じだ。
対する位置に奪衣婆(だつえば)堂と呼ばれるお堂がある。奪衣婆というのは、三途の川のほとりで着物を奪い取る鬼婆のことで、その着物は衣領樹(えりょうじゅ)の木の枝にかけられ、枝の垂れ具合で生前の罪の重さを計るという(奪衣婆については中野純『庶民に愛された地獄信仰の謎 小野小町は奪衣婆になったのか』に詳しい)。
中には入れないが格子戸のすき間から中をうかがうことができる。うう、怖い。やっぱりブレた。
納経所へ。奥に石庭が見えた。イサム・ノグチとの親交も深かった現代作庭家、重森三玲の作だ。
今日は五重塔の扉も開かれ、中の木造如来形坐像(大日如来像)を拝観することができた。最後に海女の墓にお参りする。藤原不比等の願いで龍に奪われた宝玉を命がけで取り返したという伝説がある。その宝玉は現在、琵琶湖の竹生島にあるという。
石庭の奥には、室町時代に細川氏らが作った曲水式庭園がある。荒廃していた庭園を重森三玲が修復したものだが池に水はなく、ところどころ雑草も生えていてちょっと残念な感じ(写真は一昨年のもの)。
それにしても見応えのあるお寺だ。駐車場にザクロの実が膨らみつつある。境内に雑木が多いのでコゲラなんかが飛んでいたりするのも特徴的。
その後、徳島にまわってハスの花を見てきた。