京都・鳥獣戯画


西から京都へ向かうとき、名神高速を京都南ICで1号線へ下りて北上し、東寺を回り込んで下京区へ出るのが常だ。東寺の五重塔が近づいてくるといやが上にも京都気分が盛り上がってくるが、近頃はそれも厭きたので途中で様々な路地を回り込みながら、ホテルへ向かう。なにしろカーナビがあるのでどんな迷路でも不安ない。

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そんな細道を進むうちに、今回は京都在住の建築家、高松伸の初期(1984)の名品「浅野歯科医院 ファラオ」(こちら)にばったり出会ってしまった。これだから京都は面白いのだw。

西陣にある小さな洋食屋「キッチン・ゴン 西陣店」で朝食兼昼食をとり、ホテルに車を置いて、折りたたみ自転車で京都国立博物館「修理完成記念 国宝 鳥獣戯画と高山寺」展へ向かう。

ホテルから4kmちょっとの距離。途中、鴨川の河川敷を南下するのが気持ちいい。

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この展覧会、昨日が初日で今日が2日目。たぶんテレビや新聞で大々的に報道したんだろう、すごい人だった。チケット売り場に係員がいて「待ち時間70分です」と・・・。日にちをずらせばよかったのだが、ついでに神戸の香雪美術館「曾我蕭白 鳥獣画の探求」展の後期(9/17~10/13)を見たかったので、両方見れる中で定宿の最安値が取れるのが10/8の今日だった。

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70分というのは、前座の様々な書画仏像などを見た上で、最後の部屋にある「鳥獣戯画」の現物にたどり着くまでの時間なのだが、実際に見れたのは、やはりぴったり70分後だった。その観客のおよそ9割がじじばば様だが、「鳥獣戯画」の現物の部屋ではつづら折りにロープ沿いに大行列でトコロテン式に動いて行き、70分並んで実際に見たのは数十秒、という感じで押し流された。

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観客にはデザイナー・画家志願という若者が1割。彼らは苦虫を押しつぶしたような顔で、イライラと行列に身を委ねている。それでも実物は良かった。見た瞬間に、頭の中に膨大な情報が流れ込んでくる。それが醸成の時を経て、きっと彼らの仕事に活かされる日が来るだろう。

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展覧会の図録というものは、印刷なのでオリジナルの色彩は再現できず、立体作品にいたっては印刷写真となるとまったく真実が変わる。ゆえに展覧会で見た本物の感動を網膜と心に焼き付けておきたいし買った図録で感動と情報を歪められたくないので、いつもパラパラと見るだけ。前回のバルテュスも買わなかった。が、今回はモノクロだし図録自体も良くできていたので購入。絵巻をそのままに見れるミニブック付きというアイデアも秀逸だ。

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続いてお隣の「平成新知館」は今年の9月にできたばかり。オープン記念展「京へのいざない」(9/3~11/16)がまた素晴らしい内容で、こりゃ人も多いわけだ。歴史の教科書でよく眺めていた「伝源頼朝像」(国宝/神護寺)やら雪舟の「天橋立図」(国宝)やら、「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(国宝/知恩院)などなど、お腹いっぱいw。ガラス建築なので空気が身持ち悪くて名品を駆け足で見て退散。

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ホテルで泥のように眠った。部屋は東山を遠望できる10階なのだが、テラスで鳥が鳴いている。京都は野鳥が多い。盆地の周囲を自然林に囲まれているだけでなく、神社仏閣に大樹が茂っていいる。鳥たちが町に居着いているのだ。明け方、その鳴き声に癒される。そういえば昨夜は月食だったな。

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