綾部〜つむぎの杜、子どもたちのために・・


綾部といえば田舎暮らしのキーワードでよく登場する京都府北部の山間の町。僕はまだ行ったことがないが、大本教の本部のある場所としても知っている。8月に綾部のさらに北にある「つむぎの杜」という施設の敷地で、子供たちとのサマーキャンプ・イベントをやりたいということで講師として招かれている。その事前打ち合わせに今回の講演の翌日を使うことにした。

前夜はまたしても泊まるところを決めず、フラフラと車を移動しているうちに草山温泉「やまもりの湯」という瀟洒な施設にたどり着き、そこで湯に浸かったのだが、すぐ隣にキャンプ場があって、今回テントを忘れたことを後悔した。というわけで道の駅を探して車中泊。

翌朝、綾部の街に入る。水場とトイレのある公園をみつけて、そこで顔を洗ったあと近くの神社に参拝する。しかし、公園のトイレがいまどき珍しい和式なのだがめちゃくちゃキレイなのに驚いた。

町なかもなんだかゴミひとつ落ちておらず綺麗。旧道に入ると古い建物にレトロな書き文字看板が多数あって昭和感が満載だった。駅前に四尾山という印象的な山が見える。手前にそびえるホテルの一階にカフェがあり、早朝からモーニングが食べれることをネットで見つけたが、綾部に来てまで白パンとマーガリンは・・・という気分になってやめた。

もうひとつ印象的な風景は由良川からみた大本教本部にある小山である。きれいなドームを描いた山だが、植生が原生的でシイ・カシ類の花が咲いているのが見える、おそらくひと山全体が鎮守の杜なのだろう(後から聞いた話では禁足地とのことで登れないそうだ)。地図の赤丸が早朝に参拝した八幡神社、緑丸が大本教本部である。

大本教の発祥はこの綾部市本宮の地において国常立尊の神霊が艮の金神(うしとらのこんじん)の名により開祖(出口なお)に神がかりし、三千世界の立替え立直し、ミロクの世の実現を啓示したことに始まるが、大本教の信者であった岡本天明がおろした「日月神示(ひふみ神示)」もまた国常立尊から降りた神示として有名である。

その後、「大日月地(おおひつく)神示」というのが降りて書籍化され、かなり読まれているらしい。これらの神示に共通しているのは、いつまでも御霊磨きしない人類をいよいよ神が見限って、大峠により淘汰して残った霊性の高い人たちでミロクの世をつくるというものである。大峠とは地震・津波・火山などの大自然災害、戦争や放射能災害のことと思われるが、ひょっとしたら今回のコロナパンデミックとワクのことなのかもしれない・・・。

さて、午前中から打ち合わせの予定なので北へ。

由良川の支流へ入ってみた。川が濁っているなぁ。木々もだらんと枝を垂らして元気がない。

つむぎの杜に到着。かなり傷んでいた建物を皆で大改装し、近日からカフェとしてスタートするそう。

打ち合わせを終えて、野草もたっぷりの美味しい昼食をいただいた。お米もめちゃ美味しかった! ここでも様々なメンバーの方々が集まっていたのだが、僕の本はよく読まれているようで、昨日も本が売れたがここでも本をたくさん買っていただいて、今回持って行ったダンボールの中の本はすべて完売してしまった!

つむぎの杜で囲炉裏と囲炉裏暖炉の話をしたら大受けで、近々アトリエ訪問したいとのこと(笑)。

縄文好きで詩も書くというイベント担当のNさんが、僕の話で詩人の山尾三省の「火を焚きなさい」を発見したことが面白かった。8月のイベントでは夜の焚き火で子供たちにポエトリーリーディングをやろうということで盛り上がったのである。

日月神示の大峠のことを書いたが、三省の畏友ゲーリー・スナイダーにも示唆的な詩がある。『亀の島』(『Turtle Island 』1974)に収録されている有名な詩で様々な訳があるが、僕は琉球大名誉教授の山里勝己氏のものが好きである。

『子どもたちのために』ゲーリー・スナイダー

上昇する
統計の丘、そのけわしい斜面が
ぼくらの前に横たわる。
すべてが急に
上がって行き、昇って行き、
ぼくらはみんな
落ちていく。

次の世紀
あるいはそのまた次の世紀には
谷間や牧草地があり、
うまくいけば
ぼくらはそこで平和に
会えるという。

やがて来るこのような頂を越え行くため
きにたちにひとこと、きみたちと
きみたちの子どもたちのために

離れず
花々から学び
身はかろやかに

原題『For the Children』Gary Snyder

Stay Together
Learn the Flowers
Go Light

山里訳は三省とゲーリーとの対談集『聖なる地球のつどいかな』(山と溪谷社1998/新泉社2013)、高野健三の写真集『ゲーリー・スナイダー For the Children 子どもたちのために』(野草社2013)に収録。

ゲーリーは存命なら92歳、「大地の再生」の本を書き上げたらなら、僕はシエラネバダに彼を訪ねに行こうと思っている。


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