昨日は朝から昼間一日中薪を焚いていたが、今日は朝から外へ。yuiさんのご実家の墓参りと、恒例のご両親とともにyuiさんのお墓まいりに行った。
お付き合いで久しぶりの外食3部作である。
昼はファミレスでカキフライ、肉は避けることにした。いや、朝のカフェで食べたモーニングのサンドイッチにはハムが入っていたが・・・。
お墓の帰り、yuiさんのご両親をアトリエにお迎えして囲炉裏暖炉を焚き、お茶。その間、昨夜注文した大谷ゆみこ著の2冊が宅急便で届く。相変わらずAmazon速い・・先日の新東名高速で深夜のトラックがSAの駐車場に溢れて駐車エリアを外れた場所にまで並んでいる光景を思い出した。
アトリエの敷地はyuiさんの父上の所有で、僕らは了解をとり家を建てたわけだが、その準備から経過まで、そしてyuiさんの発病から(建設中に発病・緊急入院した)息を引き取るまで、ご両親はよくご存知である。今日はいつになくこの家の作りや素材を褒めてくださったので、僕も感慨深く回想したのだった。
とくにやって良かったと思うのは壁を漆喰にしたことと、木材(国産材)へのこだわりである。木材に関しては工務店の言いなりにならず、こちらから積極的にプレゼンし、結果(自ら山から運んだ磨き丸太に刻みを入れて棟上げに臨んだりしたこともあり)木にウルサイ施主と思われたのか、素材屋さんもまたいい木材を提供してくれた。
構造材やフローリング材の他に、窓枠や建て具枠、笠木、框(かまち)などは無節に近い役物が使われるのが木造建築の伝統で、その素材の選択は工務店が抱える素材屋が担当するのだが、彼らもプロなので、施主の顔色(知識や実力といってもいいか)を見て「値踏み」するのであろう(笑)。
最終的に幅木や廻り縁も杉材の柾目になった。この壁の漆喰塗りと、全体の木材の選択と統一感が、実に心地よい視覚的効果と住み心地をもたらしている。一般に木にこだわった家はもっと骨太になってしまい、ダイナミックには見えるのだが、住み心地はこのようなスケール感のほうが落ち着く(少なくとも僕の場合は。そしてお客さんの感想にもそれを感じる)。
もう一つ余計なことを書いておくと、建てるまでに様々な家づくりの参考書を読んだが、ほとんど役に立たなかった(笑)。
ともあれアトリエは今年の3月で築6年が経過する。巷では「日本の新築住宅の耐用年数は20〜30年、ローンを組んで家など建てるものではない、賃貸で十分・・・」という意見もあるようだが、この家はそうならないと思うし、無理してでもこのアトリエを建てて良かったと思う。
とくに「囲炉裏暖炉」の出現は大逆転劇だった(詳しい経緯はnoteを)。これから囲炉裏暖炉を作りたいという人が増えると思うが、後付けでも成功すれば間違いなく人生が変わるだろう。
囲炉裏暖炉を焚いた後いそぎ外出するときは、熾炭は火消し壺に入れ、残りの薪には灰を分厚くかけておく。そうして再び車を出し、夕食は回転寿司になった。
今日の囲炉裏暖炉のある部屋は、朝からエアコンを微風で回してから家を出た。ご両親を多少は暖かい空間でお迎えしたかったからだ。暖炉の熱が強くなったところでエアコンをOFにすればよい。
エアコンの微風と囲炉裏暖炉や火鉢はバッティングしない。現在のエアコンは音が小さく電気代も安価。これで薪の使用量も減るなら気分もラクである。高断熱の家ではエアコン装備を標準として設計されているし、国の指針でますますそうなる傾向にある。
薪ストーブによる全館暖房はあまりに薪を使いすぎる。囲炉裏暖炉によ部分暖房とエアコンの弱熱は親和性がある(逆に薪ストーブとエアコンの併用は考えられない)。
ともあれこのアトリエ建設は良い工務店や職人に恵まれた幸運もあったが、決してそれだけで良い家はできない。施主の家づくりにかける情熱や創意、最後まで諦めずに妥協しない胆力が成功をもたらすのだ。これは本づくりとまったく同じである。
一方で工務店の言い分をある程度受け入れることも大事である。家づくりの知識がプロである向こうをすべて超えることはまずないのだから。たとえばエアコンなど最初は入れる気は全然なかったのである(笑)。