遍路欠番の続き。高松から西へ戻り、弥谷寺へ。ここは昨年の1月に訪れているので2回目だが、納経帳を携えたお遍路は今年の4月から始めたので再訪することに。
連休最終日で天気がよく、紅葉の季節でもありお遍路さんや観光客が多い。途中の茶店が営業していて驚いた。このような古い茶店は今は流行らずに、ほとんど営業を止めている場所が多いからだ。
山門。周囲は木々に覆われて暗い山道のなかである。ここから本堂までは山道と540段の階段を登らねばならず、四国霊場のなかでも難所の一つといわれる。
仁王像。讃岐は雨が少なく乾いているのでこんな山中の山門でも痛みは少ないほうだ。これが高知ならもう苔むしてぼろぼろのハズ。
左手の竹林は荒廃して相変わらずだった。間伐もしているようだが整備が追いつかない様子。
途中に手水場があり、大きな青銅の、うつむき加減の印象的な観音像がある。
ここから一気に108段という煩悩階段を上る。周囲には石塔や石仏が多数。
登りきると大師堂の階段前に出るが、本堂は右手に進んでまだ先だ。途中に多宝塔が聳えている。上屋根に大きなスズメバチの巣が下がっていた。
鐘を撞かせてもらう。
石仏と磨崖仏のある岩の広場に出る。岩棚からわずかににじみ出る水を樋で受けて水場としている。この霊水はどんな日照りのときでも絶えたことがなく、横の洞窟が極楽浄土の入口だといわれ特別強く信仰されたという。水受けには「水経木」と呼ばれる真言を書いた経木が多数供えられている。
少し上に目立つ磨崖仏。阿弥陀三尊。
ようやく本堂に着く。背後は岩山の崖である。
がんばって上がったご褒美にこの景色が待っている。
さて、お遍路さんとすれちがながら、同じ道を大師堂まで戻る。
大師堂は右側の岩に張り付くように造られている。
入口で靴を脱ぎ、お堂へ入る。回り込むと大師が修行したという洞窟があり、そこに仏像や大師像が安置されている。
今回1200年記念行事で、大師堂の本尊「厄除大師像」や「伝持の弘法大師像」(平時は本堂に安置)などが江戸時代以来320年ぶりに御開帳された。また重要文化財の「金堂四天王五鈷鈴」も見ることができた。これは大師が唐から請来したもので、千座之護摩行のちに納められた寺宝で初公開である。
讃岐は大師の生まれ故郷であるだけに、たくさんの伝承や宝物に出会えることが、長い遍路の後半の愉しみに残されている。
讃岐の低山は基盤は花崗岩で、てっぺんが安山岩。その間に柔らかい凝灰岩がはさまれており、そこが採掘によって洞窟化されることが多く、修行場や宗教施設を提供するという側面もあるようだ。
その乾いた岩に、備長炭の原料であるウバメガシが張り付くように自生している。
▼前回訪問の動画