あがり框・床の間の木


午前中、現場へ。日曜日は職人さんたちがいないので、仕事を邪魔することなくじっくり家の周りや中を見ることができ、今後の家具の配置などを考えるのにもいいんだよね。

破風(屋根の下の白っぽい板状のもの)がぜんぶ入った。まあホワイトグレーで正解だったかな(ホッw)。

middle_1419213279

呼応するように玄関の天井もホワイトグレー。玄関ポーチ(入り込み部分)の壁色をツートンにするアイデアもあったが、やめといて正解だった。どうせ陰影がついて深みが出るんだから同色でいいのだ。

middle_1419213309

1階廊下に石膏ボードがつく。天井はこのまま「現し」になる。なので1階の階高を20cmほど低く設計してもらったのだが、それでもけっこうな高さがある。

middle_1419213310

ダクトを使った24時間換気(※)をすると、ダクトを天井板の裏に隠したいのでこの現しができない。また、2階にダイニングやトイレがある場合は配管が天井を這うことになるのでその配置も考えねばならない。

今の工務店の一般的仕様では2階床を構造用合板(根太レス工法)で下地をつくることが多いので、このような表現は施主側から強く押し出さないとやってもらえないと思う。

普通はここを石膏ボードで塞ぎ、クロス張りの天井がつく。つまり2階の床下地の合板とダブル接着剤になるわけで、シックハウス対策に24時間換気が必要になるのは無理はない。

※新築の場合は自然住宅でも「24時間換気」の設備が義務付け。

玄関のあがり框(かまち)、今は汚れ避けのカバーがあるのだが、それを外して様子を見る。こういうところは「化粧材」といって、鉋がけした木目のいい材を用いるわけだが、施主が選べるわけではなく工務店や材木屋まかせになるので怖いところ(いい木が使ってあったw)。上がり框はケヤキやヒノキなど硬い木が使われることが多いが、この家ではスギを使っている。スギも選び方によって様々な表現ができるのを見てもらえていいと思う。

middle_1419213312

床の間の材料が届いていた(これは私が銘木屋で選んできた)。手前に置く踏み込み床はスギ。雲板はやはりスギだがうづくりの板目材。段付きで置く地板には耳付きのトチノキ(飛騨産)一枚板を使う。床柱は私がヨキではつり痕を入れたヒノキを立てる。

middle_1419213313

段を入れるのは、和室が4.5畳なので床の奥行きを狭く見せたいのと、掃き出し窓が接近しているので間をとるためでもある。一般には合板のつき板を張るところだが、ここはやはり一枚板を使いたい。

あがり框に凝った材を使って「どやっ!」と見せる玄関はあまり好きではない。が、床の間はアートの空間なので凝りたいわけである。今の住宅は、残念ながらこの床の間がうまく使われていない。

もしくは床の間のある和室を作らないか、作っても一段上がった収納つき畳部屋(←これでは床の間がキマらない)。あとはへんてこなデザイン床の間。

あくまで正調でありながらモダンに見せたいわけである。もちろん複合的に木を組み合わせるには大工の腕が重要で、これは素人には(少なくとも私にはw)絶対ムリな世界。

2階に壁下地の石膏ボードが届いていた。これが張られるとまた表情ががらっと変わるだろう。ここは大壁で漆喰塗り、白いハコにする。

middle_1419213316

今回の家づくりを簡潔にまとめると・・・

○形は単純な総2階・切り妻屋根。これでコストダウン。デザインは窓(大きさと位置)と木でする(構造材を見せる/良木・銘木を適宜使う/大工の腕を際立たせる)。

○2階を大空間のリビングにするのは耐震性も高まり合理的。ただし母屋・梁・桁が太くなるが、スギ材を使って解決。

○外側と断熱は新素材でシンプルモダン。内部は木がたっぷりの自然素材。設備は使いやすさメンテしやすさ優先で既製品(これもローコスト)。

○できるだけ地元(四国)の素材を使う。

○心臓部に薪火を。

ところでこれらの銘木だが、工務店が出入りする専門店で原材を入手すると、けっして高いものではない。また、ヒノキの丸太にいたっては、山に行けば「自分で運ぶんならタダであげるよ」の世界なのだ。日本人はもっと自由にいろいろな木を使うべきだ。このすばらしさを「金持ちの道楽」と勘違いしているのは勿体ないぞ♫


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください